原油価格高騰でも米国では「金融引き締めの大合唱が終わる」と言い切れる理由=藤代宏一
米経済指標にみるインフレ沈静化の兆し=藤代宏一
原油価格の急騰をよそに、直近で発表された米経済指標は米国におけるインフレ沈静化を示唆している。(1)サプライチェーン問題、(2)家賃、(3)労働コスト、(4)エネルギー──という4大インフレ要因のうち、三つに明るい兆しが見られている。
サプライチェーン問題については、製造業購買担当者景気指数(PMI)のサプライヤー納期が短縮化基調にあり、2月もその傾向が続いた。また世界的に自動車生産が復調するなどサプライチェーンの回復を示す状況証拠がそろいつつある。
住宅価格も一服感が認められる。消費者物価の「家賃」に一定の先行性を有するケース・シラー住宅価格指数は、12月に前年同月比18・6%上昇と、それまでに比べ伸び率が鈍化傾向にある。その他、住宅関連指標では新築住宅、中古住宅の販売中央価格の前年比上昇率が鈍化傾向にある。消費者物価の約3割を占める家賃は、しばらく上昇基調を強めた後に鈍化が予想される。
労働コスト(賃金)については多くのデータがあり、それぞれ異なるメッセージを発している。
労働コストは沈静化
アトランタ連銀が算出・公表する、労働者の追跡調査に基づく「賃金トラッカー指数」では、転職者の賃金が上昇基調を強めており、労働者の獲得競争がなお激しいことを物語っている。
その一方で、全米自営業者連盟(NFIB)の「中小企業サーベイ」では、3カ月…
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週刊エコノミスト
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