新規会員は2カ月無料!「年末とくとくキャンペーン」実施中です!

経済・企業 独眼経眼

予測不可能な時代にすべきこと 改めて「ウクライナ侵攻前夜」に立ち返って考える=藻谷俊介

「ウクライナ侵攻前夜」の経済好循環=藻谷俊介

 中国経済の再加速によって、世界経済が再びある程度の勢いを取り戻すというシナリオを当コラムで展開してきた。だが、常識的にはあり得ないと思われていたロシアのウクライナ侵攻が現実化したことで、判断が一気に難しくなってきた。

 本稿執筆時点でウクライナ侵攻開始から21日しか経過しておらず、その情勢はあまりに流動的である。早期の停戦合意から、長期化、北大西洋条約機構(NATO)の介入、露内乱、核使用まですべての可能性がまだ否定できない。経済制裁が我々に及ぼす影響も、巨視的なインフレから微視的なサプライチェーン(供給網)阻害まで含めると、総合的に予想するには大きすぎる。

 金融市場では当初から停戦期待が大きく、長期化、複雑化するに従って目線を下げているため、通常のように最初に一気に最悪を織り込んで、あとは回復へ向かうという相場になっていない。

 このような状況でエコノミストができることは、変化の起点となる侵攻直前までの状態をまず正確に把握することだろう。2月の統計も一部公表が始まっているが、特に3月16日発表の日本の貿易統計や中国の主要統計は景気サイクルを判断する上で参考になる。

 図1は2月まで含んだ日本の輸出数量指数の地域別動向だ。筆者が主張してきた中国経済の再加速が、日本経済にも良い変化を及ぼしている。欧州経済もまずまずの勢いを維持しており、米国も遅…

残り483文字(全文1083文字)

週刊エコノミスト

週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。

・会員限定の有料記事が読み放題
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で直近2カ月分のバックナンバーが読める

通常価格 月額2,040円(税込)が、今なら2ヶ月0円

週刊エコノミスト最新号のご案内

週刊エコノミスト最新号

12月3日号

経済学の現在地16 米国分断解消のカギとなる共感 主流派経済学の課題に重なる■安藤大介18 インタビュー 野中 郁次郎 一橋大学名誉教授 「全身全霊で相手に共感し可能となる暗黙知の共有」20 共同体メカニズム 危機の時代にこそ増す必要性 信頼・利他・互恵・徳で活性化 ■大垣 昌夫23 Q&A [目次を見る]

デジタル紙面ビューアーで読む

おすすめ情報

編集部からのおすすめ

最新の注目記事