新規会員は2カ月無料!「年末とくとくキャンペーン」実施中です!

経済・企業 図解で見る電子デバイスの今

サムスンが供給に乗り出し市場が活性化するテレビ用有機ELパネル=津村明宏

LG電子のブランドショップに並ぶ有機ELテレビ Bloomberg
LG電子のブランドショップに並ぶ有機ELテレビ Bloomberg

サムスン参入で活気づく テレビ用有機ELパネル=津村明宏/60

 電子情報技術産業協会(JEITA)の調べによると、有機ELテレビは2021年に国内で前年比40・6%増となる63・4万台が販売され、高い画質と鮮やかな色彩表現で人気を博している。そして22年、この有機ELテレビに新たなラインアップが加わることになる。有機ELテレビ用のパネルは、これまで韓国のLGディスプレー(LGD)が世界で唯一製造し、すべてのテレビメーカーにパネルを供給してきた。しかし、今年から2社目のパネルサプライヤーとして韓国のサムスンディスプレー(SDC)が加わり、有機ELテレビを新発売する予定なのだ。

 SDCが供給するテレビ用有機ELパネルは「QD─OLED」と呼ばれ、現在LGDが製造・供給している「WOLED」とは構造が異なる(図)。LGDのWOLEDは赤緑青(RGB)を発光する有機EL材料を積み重ねて発光層を形成しているのに対し、SDCのQD─OLEDは有機ELの発光層が青色だけで、ここから出た青色光を量子ドット(QD)層で赤色光と緑色光に変換してフルカラーを得る。WOLED、QD─OLEDともにカラーフィルターを搭載してRGBの色調整を行うのは共通だが、新たにQD層を形成する必要があるQD─OLEDは、WOLEDよりも製造コストが高くなるといわれている。

2社の競争が激化

 SDCは、19年10月にQD─OLEDの量産ライン構築に向けて25年までに総額13・1兆ウォン(約1・2兆円)を投資する計画を発表。その第一歩として、20年にかけて8・5世代ガラス基板(2200×2500ミリメートル)を月間3万枚投入できる第1期ラインを韓国に整備した。21年11月から量産を開始し、22年1月に米国で開催された国際展示会「CES2022」でQD─OLEDをお披露目した。

 親会社のサムスン電子は、65型と55型のテレビ、34型のモニターとして商品化することを表明。加えて、ソニーにもQD─OLEDを供給し、ソニーが65型テレビ「BRAVIA A95K」を発売することも明らかにされた。ソニー製のQD─OLEDテレビは22年夏ごろに発売予定と目されるが、サムスン電子はすでに米国で事前販売を開始したもようだ。

 一方、ライバルともなるQD─OLEDに対してLGDも負けてはいない。21年12月、4代目となる新型WOLED「OLED・EX」を発表し、22年4~6月期から本格量産に入る予定だ。

 LGDはOLED・EXの構造の詳細をまだ明らかにしていないが、従来パネルに対して輝度を30%高めたほか、65型基準でベゼル(額縁)の幅を従来の6ミリメートルから4ミリメートルへ狭くし、デザイン性と没入感をさらに高めた。QD─OLEDの生産枚数が限られるため、SDCは現在のところソニー以外にはQD─OLEDを供給していないが、…

残り1213文字(全文2413文字)

週刊エコノミスト

週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。

・会員限定の有料記事が読み放題
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で直近2カ月分のバックナンバーが読める

通常価格 月額2,040円(税込)が、今なら2ヶ月0円

週刊エコノミスト最新号のご案内

週刊エコノミスト最新号

11月26日号

データセンター、半導体、脱炭素 電力インフラ大投資18 ルポ “データセンター銀座”千葉・印西 「発熱し続ける巨大な箱」林立■中西拓司21 インタビュー 江崎浩 東京大学大学院情報理工学系研究科教授、日本データセンター協会副理事長 データセンターの電源確保「北海道、九州への分散のため地産地消の再エネ [目次を見る]

デジタル紙面ビューアーで読む

おすすめ情報

編集部からのおすすめ

最新の注目記事