新規会員は2カ月無料!「年末とくとくキャンペーン」実施中です!

教養・歴史 小川仁志の哲学でスッキリ問題解決

コロナ禍で働き方が変わる中、新たなルール作りの基準を教えてください/124

 Q コロナ禍で働き方が変わる中、新たなルール作りの基準を教えてください

 A その行為は他者への危害となるか否か=他者危害原理を念頭に判断してみては

 コロナ禍で働き方がいろいろと変わってきました。それに伴い、新しいルールを作らざるを得ないのですが、何を基準にしていいものやら困り果てています。例えば、自席でオンラインでの研修を受けていいかどうかという問題について、指針はないものでしょうか?

(製造業・50代女性)

 新しいことが次々と起こると、ルールを作らざるを得ませんね。倫理規定を定めるということだと思うのですが、基本的には、新しく人の行為を規制するからにはそれなりの理由が求められます。

 これは一般に応用倫理と呼ばれる分野の話です。その際、人間には自由があるので、それを規制するには他者に迷惑をかけるおそれの有無の判断、またその理由が求められるわけです。参考になるのは、イギリスの哲学者J・S・ミルの「他者危害原理」でしょう。

 ミルは古典的自由主義の祖のようにいわれますが、それは彼がこの他者危害原理を明確にしたからです。つまり、人は他者に危害を及ぼさない限り自由に行為することができるけれども、反対に危害を及ぼすような場合は自由を制限されるというものです。

自由の制限の理由づけ

 ミルよりも以前に同様の主張はなされていましたが、いずれも国家による個人の自由の制限に歯止めをかける原理でした。これを…

残り794文字(全文1394文字)

週刊エコノミスト

週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。

・会員限定の有料記事が読み放題
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で直近2カ月分のバックナンバーが読める

通常価格 月額2,040円(税込)が、今なら2ヶ月0円

週刊エコノミスト最新号のご案内

週刊エコノミスト最新号

12月3日号

経済学の現在地16 米国分断解消のカギとなる共感 主流派経済学の課題に重なる■安藤大介18 インタビュー 野中 郁次郎 一橋大学名誉教授 「全身全霊で相手に共感し可能となる暗黙知の共有」20 共同体メカニズム 危機の時代にこそ増す必要性 信頼・利他・互恵・徳で活性化 ■大垣 昌夫23 Q&A [目次を見る]

デジタル紙面ビューアーで読む

おすすめ情報

編集部からのおすすめ

最新の注目記事