新規会員は2カ月無料!「年末とくとくキャンペーン」実施中です!

教養・歴史 書評

ソ連の対日戦、シベリア抑留を検証、加害国として自国史を振り返る=井上寿一

加害国としての自国史 新たに検証の必要

 ロシアのウクライナ侵攻とソ連の対日戦は似ている。4月3日、ウクライナのゼレンスキー大統領は、ロシア軍がジェノサイド(大量殺りく)をおこなったと非難した。対する1945年8月9日未明、ソ連は日ソ中立条約を破って対日戦を始めた。旧満州(現在の中国東北部)に侵攻したソ連軍が現地の日本人居留民を蹂躙(じゅうりん)したことはよく知られている。

 平井美帆『ソ連兵へ差し出された娘たち』(集英社、1980円)によれば、葛根廟(かっこんびょう)事件(葛根廟=ラマ教寺院の近くで避難民がソ連軍戦車の攻撃によって殺りくされた事件)で1000人以上が犠牲になった。同書はソ連兵の性暴力を戦争の多重犠牲者としての女性の視点から描く。彼女たちを「人柱」にした日本人の男性社会も告発の対象となっている。

残り547文字(全文905文字)

週刊エコノミスト

週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。

・会員限定の有料記事が読み放題
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で直近2カ月分のバックナンバーが読める

通常価格 月額2,040円(税込)が、今なら2ヶ月0円

週刊エコノミスト最新号のご案内

週刊エコノミスト最新号

12月3日号

経済学の現在地16 米国分断解消のカギとなる共感 主流派経済学の課題に重なる■安藤大介18 インタビュー 野中 郁次郎 一橋大学名誉教授 「全身全霊で相手に共感し可能となる暗黙知の共有」20 共同体メカニズム 危機の時代にこそ増す必要性 信頼・利他・互恵・徳で活性化 ■大垣 昌夫23 Q&A [目次を見る]

デジタル紙面ビューアーで読む

おすすめ情報

編集部からのおすすめ

最新の注目記事