新規会員は2カ月無料!「年末とくとくキャンペーン」実施中です!

教養・歴史 書評

ストーリーは荒唐無稽。しかし安全保障情報に鋭敏な長編小説=孫崎 享

日本の安保環境を擬装? 荒唐無稽すぎるスパイ小説

×月×日

 外務省時代、時間があるとスパイ小説を読んだ。筋より本にちりばめてある背景の道具立てを見るためである。筆者が2009年に出版した『日米同盟の正体』では、好きなスパイ小説の順位を掲載した。(1)トム・クランシー『合衆国崩壊』、(2)ジョン・ル・カレ『寒い国から帰ってきたスパイ』、(3)フレデリック・フォーサイス『イコン』、(4)ダン・ブラウン『デセプション・ポイント』、(5)トム・クランシー『レッドオクトーバーを追え』。素晴らしいスパイ小説には、通常メディアで報道されない内幕がふんだんに盛り込まれている。

 島田雅彦『パンとサーカス』(講談社、2750円)は評価の割れる本だと思う。主な登場人物は、東大法学部卒のCIA(米中央情報局)エージェント▽暴力団火箱組の後継者▽その後継者の異母妹で元ソープ嬢▽ホームレス詩人で元警察官。どう見ても現実性がない登場人物である。

残り964文字(全文1376文字)

週刊エコノミスト

週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。

・会員限定の有料記事が読み放題
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で直近2カ月分のバックナンバーが読める

通常価格 月額2,040円(税込)が、今なら2ヶ月0円

週刊エコノミスト最新号のご案内

週刊エコノミスト最新号

11月26日号

データセンター、半導体、脱炭素 電力インフラ大投資18 ルポ “データセンター銀座”千葉・印西 「発熱し続ける巨大な箱」林立■中西拓司21 インタビュー 江崎浩 東京大学大学院情報理工学系研究科教授、日本データセンター協会副理事長 データセンターの電源確保「北海道、九州への分散のため地産地消の再エネ [目次を見る]

デジタル紙面ビューアーで読む

おすすめ情報

編集部からのおすすめ

最新の注目記事