教養・歴史書評

今は消滅した小国にこそ、歴史を動かす核心がある=本村凌二

滅亡した国家にこそ潜んでいる歴史の核心

 歴史はしばしば長く続いた大国を中心にして語られる。ところが、無視されがちな小国の盛衰にこそ時代の問題の核心が潜んでいる。

 ギデオン・デフォー『世界滅亡国家史』(杉田真訳、サンマーク出版、1650円)は、「消えた48か国で学ぶ世界史」と銘打って、国家の盛衰の原理から教訓を引き出そうする。そこには、国家という生き物は弱小国家であるほど覇権の内実が見えてくる、という歴史の皮肉がある。

 第1部「命知らずと変わり者」は、「変人」のせいで滅亡した世界史を語る。地中海のコルシカ島には1736年、8カ月間だけのコルシカ王国があったが、その国王になったのは、借金しまくりの呪術師テオドールだった。コルシカ島民がジェノヴァ共和国からの独立を求めていたことにつけ込んだのである。

残り568文字(全文919文字)

週刊エコノミスト

週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。

・会員限定の有料記事が読み放題
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で直近2カ月分のバックナンバーが読める

通常価格 月額2,040円(税込)

週刊エコノミスト最新号のご案内

週刊エコノミスト最新号

4月30日・5月7日合併号

崖っぷち中国14 今年は3%成長も。コロナ失政と産業高度化に失敗した習近平■柯隆17 米中スマホ競争 アップル販売24%減 ファーウェイがシェア逆転■高口康太18 習近平体制 「経済司令塔」不在の危うさ 側近は忖度と忠誠合戦に終始■斎藤尚登20 国潮熱 コスメやスマホの国産品販売増 排外主義を強め「 [目次を見る]

デジタル紙面ビューアーで読む

おすすめ情報

編集部からのおすすめ

最新の注目記事