中医薬市場拡大へ政策支援 コロナ対策でも積極活用=酒井昭治
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チャイナウオッチ 中医薬市場拡大へ政策支援 コロナ対策でも積極活用=酒井昭治
発祥は紀元前2000年までさかのぼるとされる長い歴史を持つ中医薬だが、中国政府による政策の後押しにより、新たな成長の段階へ突入すると期待されている。進展が確実視される高齢化社会の到来を前に、健康寿命の長期化や、ライフスタイルの変化を受けた生活習慣病患者の増加への対応、また、独自技術の強化による市場規模の拡大などが、後押しの背景にあるとみられる。
中国では西洋医学と並列する形で中医学が位置づけられ、医師免許の取得過程や受診可能な場所が分かれている。一般的に、西洋医学では患部への直接的な治療に重点が置かれるが、中医学では体質改善を促して症状を和らげる手法が中心だ。中医学の専門医には、総合病院の中医科や、中医専門クリニックなどで受診でき、各個人に合わせた薬が処方される。街中でも中医薬に特化した薬局も見られるなど、広く普及している。
中国に住む人に中医薬に対するイメージを尋ねると、「40代以降や高齢者が飲むもの」や「時間や生活に余裕がある人が飲むもの」などの声が聞かれる。健康への意識の高さと関係があると推察される。若年層は日ごろは体調を強く意識せず、風邪や腹痛など症状が出たときには即効性のある西洋薬を主に服用しているようだ。
西洋医学との融合強化も
また、中医薬の特徴として効果の実感までに数週間〜1カ月程度を要することや、薬を飲む前に煮出しなどの準備で手間がかかることなどがデメリットとして挙げられる。一方、自然由来のため副作用が比較的少ないとされており、病気の種類や症状に合わせた薬の選定が正しい利用法といえる。
中国国務院は今年3月、「第14次5カ年中医薬発展計画」と題した中期計画を発表。2021〜25年の5…
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週刊エコノミスト
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