1973年の軌跡をなぞる米インフレ率=市岡繁男
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筆者は2022年4月19日号の当コラムで、 大手米銀の債券含み損率は自己資本の4%に達していると書いた。出所は3月18日時点のFRB(米連邦準備制度理事会)データで、その時の米10年債利回りは2・2%だった。それが今(4月28日)では10年債は2・8%に上昇し、米10年債先物価格は40日前より5%も下落した。FRBは3月末で含み損データの公表をやめたので、大手米銀が抱える直近の含み損率は不明だ。だが08年金融危機前夜の水準に近づいていることは確かだ。
FRB自身が抱える含み損も相当なものだ。FRBは20年3月のコロナ禍の蔓延(まんえん)以降、22年4月15日までに米国債を3・5兆ドル(約450兆円)も買った(図1)。だが、その過程で10年債先物価格は15%も下落している。つまりFRBはこの2年間に購入した国債で、数千億ドル相当の損失を抱えた計算となる。
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週刊エコノミスト
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