金融リスク抑制か、インフラ投資強化か=神宮健
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インフラ投資による景気浮揚
鍵を握る地方政府の財源確保=神宮健
中国の2022年第1四半期の実質国内総生産(GDP)成長率は前年同期比4.8%と、年間目標の「5.5%前後」を下回った。4月以降もゼロコロナ政策の影響もあって景気が鈍化している。
そうした中、4月26日に開催された中国共産党中央財経委員会は、経済成長促進のためにインフラ建設の強化措置を打ち出した。インフラ施設を国家の発展と安全保障に適応したものに強化することが重要との認識の下で、インフラ建設を適度に前倒しする。
長期的経済発展を見据え
インフラ建設による短期的な景気刺激効果が期待されている一方、短期のバラマキ政策でなく長期的に経済発展に資するプロジェクトなどへの投資を重視する方針がうかがえる。具体的には、交通・エネルギー・水利などのネットワーク型インフラ、情報・科学技術・物流など産業高度化のインフラ、都市インフラ、農業農村インフラ、国家安全インフラなどの建設強化が挙げられている。
実際にインフラ建設が加速するかの鍵は、実施主体である地方政府の財源確保にある。足元では、地方政府の「専項債(インフラ建設などのために特別会計枠で発行される地方債)」による資金が下支えしている。専項債は昨年秋に発行ペースが引き上げられ、今年のインフラ建設増加にもつながっている。また、今年の専項債の発行予定額は昨年(当初予算)と同じ3.65兆元(約70兆円)であるが、2月までに約25%が発行済みである。これらを受けて第1四半期のインフラ投資は前年同期比8.5%と比較的好調であった。
今後、前倒し効果が息切れするおそれがある中、他の資金源を見ると、地方政府の主要収入源である土地譲渡収入は、昨年通年で3.5%の増加にとどまり、今年第1四半期は前年同…
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週刊エコノミスト
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