波穏やかな浜名湖で快適クルージング ヤマハマリーナ浜名湖
浜松の人気観光スポットでもある浜名湖はプレジャーボートのメッカでもある。というのも外海のような大きな波やうねりの心配が少なく、多くのマリーナが点在し、多彩なレンタルボートが借りられる、など初心者にはありがたいことだらけなのだ。
オープンデッキのボートを体感
今回はヤマハ発動機のおひざ元でもある「ヤマハマリーナ浜名湖」を訪れた。同マリーナはシースタイル会員向けクラブ艇として3種類のレンタルボート、①6人乗りで釣りに適したAS-21WB(平日3時間9100円~)、②家族でクルージングも楽しめるFR-20LS(同)、③仲間とゆったり船上で過ごせる11人乗りのG3ポンツーンボートV322RF(平日3時間1万9300円~)、を用意している。
ポンツーンボートは日本ではまだ珍しいが、米国などでは人気が高い。操船しやすいうえにボート全体が解放感あるオープンデッキになっていて、停泊して海上パーティなども楽しめる用途の広いボートだからだ。
そこで早速このポンツーンボートに挑戦してみた。全長6.7㍍、全幅2.7㍍の広々した開放的な船体。エンジンは150馬力の船外機を搭載しているので浜名湖内での操船に不満はない。
ハンドルを握ってみると直進性のよさに驚く。海面が静かな湖ということもあってか船底をたたくような上下振動がほとんどない。まるで馬力のあるV8エンジンの“アメ車”に乗っているような感覚だ。スピードを上げても風の抵抗はあまりない。フロントに大きな風よけのカウルもなくオープンデッキなのに不思議な感じだ。
浜名湖北側を周遊
浜名湖は海に近い弁天島エリアの南側は水深が浅く、東名高速が走る北側の奥浜名湖は深い。平均水深は5㍍ほどらしいが、事前の講習を受ければ操船に不安はないだろう。
この日は、浜名湖の北側半分をクルージングした。マリーナから出航して最初に左手に見えてくるのが「つぶて島」。その先には東名高速・浜名湖サービスエリアに架かる赤い橋がある。さらに奥に進むと遊園地のある舘山寺内浦湾に入る。舘山寺からは対岸の「大草山」にロープウェイが架かっている。ロープウェイを真下から見上げながら、停泊してゆっくり景色を楽しんだ。停泊中も安定性が良くこれなら家族が乗船しても不安はなさそうだ。
その先で転回して帰り道で寄ったのが、奥浜名湖にあたる猪鼻湖の入口の浜名湖八景のひとつ「猪鼻湖神社」。橋のたもとには釣りをする人たちがいる。人気の釣りスポットなのだろう、頭上に架かる電線にはルアーの仕掛けや釣り糸が絡まっているのが、面白い景色になっている。
半日あれば湖全域の観光スポットが回れる。朝9時に出航すれば昼頃には船上でランチが楽しめるから家族サービスにも利用できそうだ。
多彩な魚が釣れる
今回のクルージングでは体験できなかったが、浜名湖は日本でも有数の汽水湖で四季を通じて多彩な魚が釣れる釣りの名所でもある。ヤマハマリーナに近い湖の中央エリア「遊走区域」ではハゼやアジなど、「中央航路」沿いではカワハギ、南側の弁天島エリアではサヨリ、クロダイ、スズキ、キスなど多彩な魚が釣れるとのこと。餌釣りからルアーまで仕掛けを変えればイカやタコなども釣れるというからボートをレンタルしたら釣り好きならずとも一度はトライしたいところだ。
また、浜名湖では100年以上の昔から南部の遠浅地帯で行われている独特の「たきや漁」が有名。夜に船の舳先に取り付けた水中灯で湖面を照らし、その光に集まってくるカニやタイ、クルマエビなどをモリで突いて魚を獲る素朴な漁だ。観光体験もでき、獲れた獲物を湖上のイカダで天ぷらなどにして食べさせてくれる。
四季を通じて風光明媚
浜名湖は観光地なので各レジャーのサービスも充実している。周辺には遊園地のほか、ホテルやキャンプ場、レストランなども点在している。春はお花見、夏はバーベキュー、海水浴、秋は紅葉見学、もちろん釣りは通年だ。アフターコロナで混み合う休日や連休でも湖の上なら開放的でソーシャルディスタンスを気にする必要もない。
車なら東京からは約2時間半、名古屋からは約1時間の距離。朝からレンタルボートを予約しても前日深夜に出発して途中のサービスエリアで休憩仮眠をとれば、効率よくボートクルーズやフィッシングが楽しめるだろう。(春日井章司)