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国際・政治 チャイナウオッチ 中国視窓

ウクライナ侵攻が「一帯一路」に打ち込んだくさび=岸田英明

中国と欧州を結ぶ定期貨物列車「中欧班列」に吹く逆風=岸田英明

 ロシアのウクライナ侵攻に対する中国の指導者の本音は知りようがないが、早期停戦を欲していることは間違いない。侵攻は、民主主義国の結束強化やグローバルサプライチェーンの不安定化、主要輸出先である欧州の景気減退など、中国の安全保障や経済の環境を確実に悪化させているためだ。一方、中国にとりロシアは欧米に対抗する重要なパートナーで、表立っては不満を表明できないでいる。

 そんな中国の悩ましい立場を示す象徴といえるのが、中国と欧州を結ぶ国際定期貨物列車「中欧班列」である。中国主導の巨大経済圏構想「一帯一路」の看板プロジェクトで、2011年の運行開始以降、右肩上がりで成長してきた。

 21年はコストが高騰した海運の代替需要を取り込み、計78路線、往復1万5183便(前年比22.4%増)が運行され、146.4万TEU(同29%増、1TEUは長さ20フィートの貨物コンテナ1個分=約33立方メートル)が輸送された。22年も伸長が見込まれていたが、強い逆風に見舞われている。侵攻だ。

 中欧班列はほとんどの路線がロシア、ベラルーシ、ポーランドの3カ国を通る。直接の戦場ではなくインフラは無傷だ。にもかかわらず、ロシアの侵攻開始(2月24日)からひと月もたたずして、ドイツやスイスなど欧州の貨物輸送大手が相次いで中欧班列関連サービスの新規受け付けを停止させた。

 ロシアとその同盟国ベラルーシに通行料が支払われる中欧班列を使うことの道義的問題に加え、欧米の制裁で国際決済システムからの両国金融機関の排除が進む状況もあり、停止は自然な選択といえた。

 日本では日本通運が中欧班列を利用した輸送サービスを提供しており、5月下旬時点でも同社ホームページ上で紹介してい…

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週刊エコノミスト

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