国際・政治チャイナウオッチ 中国視窓

ゼロコロナ復興策で恩恵受ける新エネ車メーカー=酒井昭治

新エネ車で景気下支え

大手BYDに追い風=酒井昭治

「ゼロコロナ政策」継続で経済減速懸念が高まる中国だが、復興に向けた動きを速めている。中でも消費刺激や生産活動の活性化のため、「NEV」と呼ばれる新エネルギー車(中国では電気自動車=EV、プラグインハイブリッド車=PHV、燃料電池車=FCVの3タイプを指す)の存在感が高まりつつある。

 李克強首相は5月23日、経済の成長軌道回帰に向け、33項目の新たな措置を発表。自動車購入価格の実質的引き下げにつながる600億元(約1兆1600億円)規模の乗用車購入税の減税を決めた。

 また3月後半から約2カ月にわたる都市封鎖を余儀なくされた上海市では29日、「経済回復と復興加速行動計画」と題した通知を公開した。外食や小売り、観光など都市封鎖の影響が直撃した業種が対象の社会保険料支払い猶予期間延長に加え、年内に自家用車をEVへ買い替えた個人に対する1万元(約20万円)の補助金給付が盛り込まれた。経済下支え効果に加え、国策のグリーン化推進にもつながる新エネ車が担う役割は大きい。

 相次ぐ政策発表を受け、自動車各社は業績への恩恵が見込まれる。中でも、国内の新エネ車販売で2021年まで9年連続トップのシェアを誇るBYDが筆頭だ。

 同社は1995年に携帯電話向け電池事業で創業。03年に国内自動車メーカーを買収して自動車事業へ参入し、08年には著名米投資家であるウォーレン・バフェット氏からの投資で注目を集めた。

 以降も独ダイムラー社やトヨタ自動車との合弁会社設立、モノレール事業参入など成長機会を模索し、日本では電動バスなどの業務用車両の販売で成果を収める。本社を置く広東省深圳市ではタクシーやバスなど公共交通機関の多くがBYD製で、街を代表する企業として位置づけら…

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週刊エコノミスト

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