年内にも1ドル=135円を超えるだろう=渡辺浩志
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円安の行方を決める米金利=渡辺浩志
2月24日にロシアのウクライナ侵攻が始まると、供給制約への不安から原油や天然ガス、穀物などの商品市況が急騰した。同時に、市場のインフレ予想がそれまでの安定を失い急上昇した。
この先のインフレが米連邦準備制度理事会(FRB)の手に負えなくなるとの疑念が高まれば、インフレ予想は暴走し、駆け込み消費や便乗値上げを活発化させて歯止めなきインフレを招く。そうした危機感から、FRBは3月以降、金融を引き締めるタカ派的な姿勢を一気に強めてきた。
3月に利上げを開始し、5月の連邦公開市場委員会(FOMC)では通常の2倍幅となる0.5%の利上げを決めた。また、パウエル議長は政策金利を速やかに中立金利(景気を熱しも冷やしもしない金利水準、FRBは2~3%と想定)近辺まで引き上げ、景気過熱を抑えることでインフレとインフレ予想を鎮圧する意思を示した。
FRBがタカ派姿勢を強めると、それを織り込んで米国の5年物など国債金利が上昇し、同時に円安が進んだ。通常、ドル・円レートは日米金利差の影響を強く受ける。ただし、現在は日銀が金融緩和を堅持しており、日本の金利は上がらない。結果、ドル・円レートは米金利に沿って動いている(図)。
なお、国債金利は政策金利の引き上げに先んじて上昇し、利上げの最終局面では、政策金利の水準と一致する傾向がある。当社は利上げの終着点は、中立金利を上回る3.375%と予想する。また、政策金利であるフェデラルファンド(FF)金利先物にみる市場の利上げ予想も同様だ。この場合、年内にも国債金利は3.5%近辺まで上昇し、ドル・円レートは1ドル=135円を超えよう。
この間にドル売り・円買いの為替介入が行われる可能性は低い。米国は輸入インフレにつながるドル安…
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週刊エコノミスト
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