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年初からのサプライズをやり過ごし、景気は緩やかな改善基調=藻谷俊介

したたかな日本経済とインフレの頭打ち=藻谷俊介

 前回までは、ウクライナ戦争によるインフレや資源争奪戦、円安、中国のロックダウン(都市封鎖)に伴うサプライチェーン問題など、経済情勢を悪化させる要因を洗い出し、インパクトを予想してきた。今回から、実際の効果測定に入りたい。

 まず、4月までの日本の鉱工業生産指数と、5~6月の生産予測指数の動向である。図1は、ブレの少ない当社のモデルで季節調整した鉱工業生産の実績に、生産予測指数を最近の実現率で補正した上でボラティリティー(変動性)をそろえたものを接続したグラフだ。いわば、現時点で最も蓋然(がいぜん)性の高い生産動向の見通しと考えていただけばよいだろう。

 驚くべきは、年初から世界でこれだけの突発事やサプライズがあったにもかかわらず、日本の生産サイクルは基本的に上向いており、しかも当面は上向き続けるということである。

 むろん業種によってパフォーマンスはまちまちで、逸話的には悲惨な状況を記事にすることも可能だろうが、マクロ分析の観点に立つなら、想像以上にしたたかな展開といえるのではないだろうか。これも国民が今知るべき有益な情報であると筆者は考える。

 インフレの動向はどうか。前回は「日本では最大年率4%程度のインフレになる可能性があるが、諸外国対比では問題にならない低い数字である」と推計した。

「最大4%」で収束

 図2は、その際にも使った消費者物価指数の各月時点での3カ月平均インフレ率を年率換算したもので、いわば「リアルタイムのインフレ率」を見ている。東京都区部は5月速報で年率3・0%、全国は4月で3・9%となっている。地方はガソリンなどの消費が多いため、今は都市部よりインフレ率が高くなりやすい。

 重要なことは、商品価格の動向から予想した通り…

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