教養・歴史書評

第二次大戦下の司書と冷戦下のスパイと=孫崎 享

戦時下のパリに生きた図書館員の姿を読む

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 第二次大戦中の画家の動きを調べている。松本竣介は軍部の圧力に抗して「芸術に於ける普遍妥当性の意味を、私達は今日ヒューマニティとして理解してゐる」と書き、「立てる像」を描いた。一方、横山大観は、富士山を描き戦意高揚に努めた。

 米国では、ノーマン・ロックウェルが「リベット打ちのロージー」を描いている。これは工場や造船所など、男性の職に女性が進出する姿が主題だ。そして同時期の1942年にはエドワード・ホッパーが「ナイトホークス」で都会の孤独を描く。

 このように私の関心が1940年代に向く中、『あの図書館の彼女たち』(ジャネット・スケスリン・チャールズ著、東京創元社、2420円)に出会った。

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