経済・企業

都市ガス不足懸念で国内初のガス使用制限も課題に=和田肇(編集部)

都市ガス危機

 日本は“節電”の経験は豊富だが、“節ガス”の経験はない。>>>特集「止まらないインフレ 資源ショック」はこちら

ロシアから輸入途絶リスク

代替先なければ今冬に不足=和田肇

 夏と冬の電力不足が話題になっているが、新たに都市ガス(天然ガス)の需給不安も浮上している。現時点では可能性は低いと思われるが、仮にロシア・サハリンからの天然ガス供給が途絶え、その代替先が確保できなければ、ガス需要が急増する冬場に、日本は都市ガス不足に陥る事態も否定できない。

 経済産業省は5月27日、夏と冬の電力不足対策に加えて、初となる都市ガス不足対策の方向をまとめた。それによると、都市ガス大手・中堅9社の液化天然ガス(LNG)輸入量約2300万トンのうち約1割がロシア産(図)。家庭のガス消費量は、7~9月の夏に比べ、1~3月の冬は約3倍増加すると見積もっている。そして、対策案は以下の通りだ。

 電力の対策と同じように、需給逼迫(ひっぱく)が軽度の場合は、数値目標のない“節ガス”要請などを行うが、深刻な事態となれば、供給制限や使用制限令の発動、都市ガス会社による需要抑制計画の策定などを求める考えだ(表1)。

190社が個別に対策

 天然ガスを使う都市ガス会社は、2022年4月時点で大小合わせ193社。日本は欧米のような国内を網羅するガスパイプライン網がほとんどなく、各都市ごとにガス導管網が点在している。ガス不足が起きた場合、具体的な対策は193の各都市ガス会社ごとに取り組まれることになる。

 日本ガス協会は17年3月に「大規模供給途絶時の対応ガイドライン」(表2)を策定しているが、これはあくまでテロや災害などの突発的事象を想定している。各社間のLNG融通などが対策の中心で、“節ガス”は希薄だ。

 都市ガス業界は電力と違い“節ガス”の経験がないため、具体的な方法も消費者はほとんど知らない(ガス使用を控える程度)。省エネ家電はあるが、省ガス機器はない。また、都市ガス会社も電力会社のような「節約メニュー」提示の経験があまり多くなく、.節約の数値目標をどう設定するかなど課題は山積だ。

(和田肇・編集部)

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