回復鈍い中国経済で地方からの巻き返しなるか=真家陽一
有料記事
今秋見据え急ぐ経済回復 鍵握る地方での政策遂行=真家陽一
「総じて見れば、中国経済は新型コロナウイルスの悪影響を徐々に克服し、回復の勢いを見せている。しかし、主要指標の伸び率はまだ低位にあり、回復の基礎を固める必要がある」。国家統計局の付凌暉報道官は6月15日、5月のマクロ経済統計公表に関わる記者会見で、こうした見解を表明した。
今秋の共産党大会で3期目続投を目指す習近平国家主席は、上半期中の経済回復を確保すべく、年初から景気対策に躍起だった。その成果もあり1~2月の経済は好調なスタートを切ったかに見えた。だが、感染力の強いオミクロン株流入などを背景に、3月ごろから感染が再拡大。特に上海での約2カ月に及ぶロックダウン(都市封鎖)で、4月の経済は減速した。
5月は回復の兆しが見えつつあるが、上海のロックダウン継続もあり、勢いは鈍い。例えば、4月に前年同月比11.1%減と2桁減だった消費は、5月に6.7%減と若干回復したが、3カ月連続で前年を下回った。4月に2.9%減と前年割れとなった工業生産は、5月は増加に転じたものの、伸び率は0.7%増と微増にとどまった。付報道官の発言はこうした現状を踏まえたものだ。
第1四半期の実質GDP(国内総生産)成長率は前年同期比4.8%と通年の目標である5.5%前後を下回っており、このままでは成長率の目標が達成できないという異例の事態になりかねない。
33項目に及ぶ措置
かかる状況の中、政府は5月31日、6月1日からの上海の封鎖解除を見据え、「経済安定化のための包括的政策措置」を公表した。6分野((1)財政、(2)金融、(3)投資安定・消費促進、(4)食糧・エネルギー安全保障、(5)産業チェーン・サプライチェーンの安定保障、(6)基本民生保障)33項目…
残り620文字(全文1370文字)
週刊エコノミスト
週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で直近2カ月分のバックナンバーが読める