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テクノロジー図解で見る電子デバイスの今

自社用の高性能チップを独自設計する流れが活発化=津村明宏

アップルのM1(左)、M2プロセッサー アップル提供
アップルのM1(左)、M2プロセッサー アップル提供

 アップルやアマゾン、グーグルを筆頭に、最先端プロセッサーの自社設計に乗り出す企業が増えている。

製品やサービスに最適化=津村明宏/63

 米アップルは、6月6~10日に開催した開発者向けイベント「WWDC2022」で次世代プロセッサー(演算回路)「M2」チップを公開した。同社のパソコン「Mac」向けに開発したもので、7月に発売される「MacBook Air」と「MacBook Pro」に搭載する。M2は、前世代のM1よりも25%多い200億個のトランジスタを搭載し、CPU(中央演算処理装置)性能を18%、GPU(画像処理回路)性能を35%、ニューラルエンジン(機械学習関連の処理)を40%それぞれ高速化し、より少ない電力で複雑な処理ができるようにした。

 アップルによると、一般的なノートパソコン用の10コアCPUに対して、M2に搭載したCPUは同じ電力で約2倍の性能を実現し、4分の1の電力で10コアCPUのピーク性能を達成できるという。また、M2のGPUに関しては、最新のノートパソコン用GPUに対し、同じ電力で2.3倍高速な性能を出すことができ、ピーク性能には5分の1の電力で到達できると説明。1ワット当たりの性能が高いため、グラフィックスを多用したゲームをプレーしたり、大量の画像データを処理したりする場合でも、発熱を抑えてバッテリーを長持ちできるようになる。

 アップルは、「アップルシリコン」と名付けたプロセッサーの自社開発に乗り出し、第1世代となるM1チップを2020年11月に発売したMacBook Airから搭載し始めた。それまでは半導体売上高ランキングで世界首位の米インテル製プロセッサーを搭載してきたが、自社製OS「iOS」に適したプロセッサーを独自に設計することで製品の競争力を高めていく戦略へかじを切った。この切り替えがインテルの売り上げを削(そ)ぐことにつながり、21年に世界の半導体市場が26%も伸びたのにもかかわらず、インテルがわずか1%の増収にとどまった要因の一つになった。なお、インテルの増収率が小さかった要因は、NANDフラッシュメモリー(書き換え可能で電源を切ってもデータが残るメモリー)事業の売却、競合の米AMDのシェア上昇といった要因もあった。

ファウンドリーが実現

 アップルに見るように、きちんと設計することさえできれば、プロセッサーを自由に手に入れることができる時代になった。それを可能にしているのが、世界最大のファウンドリー(製造受託企業)である台湾TSMCの存在だ。製造だけに特化しているTSMCは、世界中の企業から最先端のチップ製造を受託する代わりに、製造技術を日夜進化させ、世界最先端の半導体製造プロセスを保有することになった。事実、アップルのM2チップもTSMCの第2世代5ナノメートル(ナノは10億分の1)プロセスで製造される。

 こうした状況…

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