上海「ゼロコロナ」緩和で急速な反転攻勢=酒井昭治
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期待高まる行楽期の消費回復 年後半の景況感持ち直しへ=酒井昭治
中国では7月に入り、経済活動再開の動きが急速に進み始めた。中でも今後の回復動向に注目が集まるのが消費市場だ。商品の購入だけでなく、外食や観光などのサービス業は雇用機会の提供という側面でも重要な役割を担い、景況感の改善が必須となる。
今年は年初からロシアによるウクライナ侵攻を受け、中国のロシア支援に対する海外主要国からの制裁実施懸念や、中国当局によるインターネット大手に対する出口の見えない規制強化、加えて上海市での2カ月以上に及ぶ都市封鎖となった「ゼロコロナ」政策など、悪材料が相次いだ。
人々の消費意欲は停滞し、小売総額は3月以降前年割れが続く。6月までは影響が残りそうだが、中国政府は7月以降の反転攻勢に向けて急速にかじを切り始めた。
工業情報化部は6月29日、スマートフォンの個人向け行動履歴確認アプリで、14日以内に新型コロナの新規市中感染者が発生した都市であることを意味する「星マーク」の表示をなくすと発表した。
従来は感染者との接触がなくても、星マークが付く都市に滞在しただけで、他都市への移動時にPCR検査の陰性証明提出や訪問先での隔離など、追加条件が課された。また、厳格な管理体制を維持する都市からは来訪を拒否された。今後は、濃厚接触者とならなければ自由な移動が可能となる。
中国政府は感染の流行と他地域への拡大を防ぐ「ダイナミックゼロコロナ」政策へと移行しており、厳しい防疫措置は段階的に緩和されると思われる。加えて、「星マーク」廃止の発表を受け、出張や旅行需要の回復期待から「リベンジ消費」が注目を集めている。
実際に廃止発表後、30分もたたないうちに、一部旅行予約サイトではホテルの検索件数が前日同時間帯比で3・…
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週刊エコノミスト
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