有料道路など既存インフラの公募REITsに規模拡大の動き=神宮健
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中国では、今年上半期(1~6月)の実質GDP(国内総生産)経済成長率が前年同期比2.5%と低迷した一方、年後半はインフラ投資による景気下支え効果が期待されている。主にインフラ投資を実施する地方政府の財政状況が、土地使用権譲渡収入の減少などを受けて厳しい中、最近では既存のインフラ資産の活性化が言及されることが多い。
国務院(日本の内閣に相当)は、5月の常務委員会で、インフラなどの既存資産ストックの活性化を取り上げ、その後、関連する「意見」を発表した。
意見の趣旨は、既存のインフラ資産を流動化して新たなインフラ投資を増やすことだ。活性化の具体策として、財産権取引所における資産売却や、民間資本などの既存インフラ施設への運営参加、インフラ分野の公募REITs(REITsは不動産投資信託基金)などがある。
ここでは、比較的新しい手法である「公募REITs」を見る。これは、インフラ施設からの収益を返済資金源として資産担保証券(ABS)を発行し、投資家から資金を集めた公募ファンドがそのABSに投資する仕組みである。
証券監督管理委員会や国家発展改革委員会が2020年から、試行に向けて整備を始めていた。重点産業として、倉庫・物流、有料高速道路などの交通施設、水・電気・エネルギーなどの施設、都市の汚水・ゴミ処理などの伝統的なインフラに加え、情報ネットワークなどの新型インフラ施設、ハイテク工業団地なども挙げられる。
21年6月に、九つの公募REITsが取引所に上場されて以降、報道によると、足元(7月上旬)で累計13本が発行されており、発行規模は約500億元(約1兆244億円)にのぼる。うち約半分は、原資産が有料高速道路である。
隠れ債務問題解消にも
意見では、活性化により「回収」した資金を新規の…
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週刊エコノミスト
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