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資源・エネルギー学者が斬る・視点争点

サーキュラー・エコノミーは環境保全と経済合理性のトレードオフを解消する=藤井秀道

消費者が商品を長く使えば使うほど、企業の利益にもなるのが「循環経済」だ。

資源効率性を高める行動が利益を生み出す

 これまで人類が歩んできた「取って、作って、捨てる」の一方通行型の線形経済(リニア・エコノミー)から持続可能な社会の実現に向けた循環経済(サーキュラー・エコノミー)への転換が世界的に起こっている。線形経済は資源利用の観点から非効率的であるとともに、大きな環境負荷が生じるという問題が指摘されていた。資源の非効率な利用はコスト増を引き起こすため経済合理性の面からも望ましくないといった理由もあり、その循環経済への転換が求められていた。

 こうした中、循環経済への転換により資源利用効率を高めることで、環境保全と経済合理性の両方を高める取り組みが欧州を中心に進んでいる(図1)。循環経済では、循環型サプライチェーン、シェアリング・プラットフォーム、製品のサービス化、製品寿命の延長、回収とリサイクルの五つのビジネスモデルによって、資源利用効率を向上。環境負荷を削減するとともに、利益を創造する新たな経済システムとして期待されている。

 廃棄物の発生量は、資源の利用効率に大きく依存する。身近な事例として料理を例に挙げて説明する(図2)。料理する際に野菜や肉を調理する過程で、生ごみが発生する。発生する生ごみの量は、料理に使用する食材と献立や調理の手際の良さなどが関係する。前者は食材を有効利用するための献立の設定を行うことで、後者は作り手のスキルを高めることで生ごみが発生する量を抑制することが期待できる。この図式は製造業にも適用することが可能だ。

 つまり、製造過程で廃棄物が発生しにくい商品設計をすることで、原材料の有効利用を同時に達成することになる。加えて、精度の高い金属加工や表面処理を行うことで、金属くずなどの廃棄物の発生の抑制が見込める。従って、資源利用効率の改善は環境負荷の発生抑制に貢献することが期待できる。重要なのは資源利用効率を高めるための設計であり、特に商品設計やビジネスの仕組みが重要になる。

もったいないの発想

 日本では「もったいない」という言葉や3Rに代表されるように、循環型社会という考えは新しいものではなく以前から普及していた。一方で、その着眼点は発生した廃棄物をどのように活用・処理するかというものであり、「発生してしまった廃棄物をいかにして再資源化するか」というところ(図2右下)に焦点が当てられていた。

 2000年に循環型社会形成推進基本法が制定後、家電リサイクル法や食品リサイクル法などが次々に制定され、廃棄物のリサイクルに関する法律が整備されてきた。こうした法整備が進んだ背景には、最終処分場の逼迫(ひっぱく)や不法投棄の増加といった社会問題に対応する必要性が強く認識されていたことが理由として挙げられる。

 そして、循環型社会の考えの中では、既存の線形経済のビジネスモデルの中で、いかにして廃棄物を削減するかに焦点が当たっており、そもそも廃棄物が発生しにくいようなビジネスモデルを新たに創出するという点までは、十分に考慮できていなかったと思われる。こうした背景…

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