新規会員は2カ月無料!「年末とくとくキャンペーン」実施中です!

教養・歴史 小川仁志の哲学でスッキリ問題解決

利害関係を超え、仕事で知り合った人と友達になれますか/142

Q 利害関係を超え、仕事で知り合った人と友達になれますか

 大人になると、なかなか友達を作るのは大変です。どうしても仕事などの利害関係が頭をよぎってしまい、学生時代の友達と同じ感覚で付き合うわけにはいかないのです。仕事で知り合った人とは友達になれないのでしょうか?(航空業界勤務・40代男性)

A 正直に生き、信義に基づく判断で意見が一致した時、友情が芽生えます

 これは私もよく感じることです。すごく気が合いそうなのだけれども、どうもうまく友達になれない。飲みには行くのですが、友達にはなれていないような感じがします。大人は、いったいどうすれば友達になれるのか?

 そこで参考になるのが、古代ローマの哲学者マルクス・トゥッリウス・キケローの説く『友情について』です。親友を失った賢者が、二人の娘婿に友情について語るという体裁をとった書です。

 彼によると、そもそも人間には関係が近くなると、結びつくという習性があるといいます。親戚などが例に挙がっていますが、職場の関係もそうでしょう。

友情の土台は好意

 ただ、それだけでは友情は芽生えないのです。そこには好意が必要だといいます。お互いに好意を持たなければならないということです。具体的に求められるのは、意見の一致だといいます。

 たしかに、意見が一致すれば、好意を持ちますよね。問題は、大人の場合、つい話を合わせてしまいがちな点です。利害関係がある時はなおさらです。

 キケローはそこの見極めが大事だと強調しています。信義に基づく言動かどうかをきちんと判断することによって初めて、好意が芽生えるわけです。もちろん、自分もうそをついてはいけません。正直にならねば、相…

残り732文字(全文1432文字)

週刊エコノミスト

週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。

・会員限定の有料記事が読み放題
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で直近2カ月分のバックナンバーが読める

通常価格 月額2,040円(税込)が、今なら2ヶ月0円

週刊エコノミスト最新号のご案内

週刊エコノミスト最新号

12月3日号

経済学の現在地16 米国分断解消のカギとなる共感 主流派経済学の課題に重なる■安藤大介18 インタビュー 野中 郁次郎 一橋大学名誉教授 「全身全霊で相手に共感し可能となる暗黙知の共有」20 共同体メカニズム 危機の時代にこそ増す必要性 信頼・利他・互恵・徳で活性化 ■大垣 昌夫23 Q&A [目次を見る]

デジタル紙面ビューアーで読む

おすすめ情報

編集部からのおすすめ

最新の注目記事