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有機ELの新世代発光材 開発競争が激化=津村明宏

サムスンディスプレーは最新の大型有機ELパネル「QD-OLED」の商品化を本格化している サムスンディスプレー提供
サムスンディスプレーは最新の大型有機ELパネル「QD-OLED」の商品化を本格化している サムスンディスプレー提供

 有機ELのさらなる普及には、主要部材である発光材料の性能向上が求められており、各社は次世代材料の開発にしのぎを削っている。

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 テレビやスマートフォン用のディスプレーとして普及が進む有機EL(エレクトロルミネッセンス)。これまで主流だった液晶と比べ、自発光であるためバックライトが不要で、薄く軽量にできることが特徴で、今後はノートPCやモニターにも採用が進むと予想されている。

 有機ELは一般的に液晶よりも省エネといわれるが、電圧駆動である液晶に対し、有機ELは電流駆動であるため、画面サイズが大きくなればなるほど消費電力も大きくなる。大画面有機ELテレビが液晶テレビよりも消費電力が大きくなるのはこのためで、さらなる低消費電力化を実現するには、主要部材である有機EL発光材料のさらなる性能向上が不可欠である。

24~25年の実用化目標

 その有機EL発光材料では、開発が最も難しいといわれる青色の発光材料について、次世代品の開発競争が熱を帯びている。主要材料メーカーが実用化の時期を2024~25年に定めており、このとおりに実現すれば、広色域化や発光効率の向上(低消費電力化)、発光寿命の延長といった性能アップにつながると期待される。

 現在量産されている有機ELパネルは、赤色と緑色の発光材料に第2世代材料と呼ばれる「燐光(りんこう)材料」、青色には第1世代の「蛍光材料」が採用されている。次世代品に分類されるのが、第3世代の熱活性化遅延蛍光(TADF)材料および第4世代のハイパーフルオレッセンス(HF、超蛍光)材料である。

 ちなみに、蛍光発光材料は、現在ある発光材料の中で最も発光寿命が長く、色の再現性も高いが、流した電気の25%しか光に変換することができない。燐光発光材料は理論上、流した電気をほぼ100%光に変換することができるが、レアメタルを材料に用いるため高価である。これに対し、TADF材料はレアメタルを用いずに100%光に変換することが可能。HF材料は、性能の高い蛍光材料とTADF材料を組み合わせ、蛍光材料の性能を飛躍的に高めることができる技術である。

 燐光発光材料の世界最大手である米UDC(Universal Display Corporation)は、21年度通期決算説明会で青色の燐光発光材料の開発状況に言及し、22年末までに暫定目標仕様を達成して、24年に市場投入することを明らかにした。このとおりに進めば、赤緑青の3原色すべてを燐光材料で構成できるようになるため、より高いエネルギー効率と高い性能のパネルを実現…

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