建設業界でDX推進 米住宅資材のビルダーズ・ファーストソース 清水憲人
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Builders FirstSource M&Aで規模拡大し業界最大手に/46
ビルダーズ・ファーストソース(BFS)は、住宅建設用の資材を建設会社や工務店に提供する米企業。米国の42州に合計565拠点を擁する業界最大手であり、フォーチュン500企業の一つだ。木材などの建材販売が大きなウエートを占めるが、デジタル・プラットフォームの提供などを含め、住宅建設に必要となるさまざまな製品サービスを包括的に提供する企業として成長することを目指している。
2021年度のアニュアルリポートでは六つのカテゴリーで売り上げが報告されている。一つ目はツーバイフォー住宅用の木材や合板などの木材製品。全社売り上げの42%をこれで稼いだ。二つ目はマニファクチャード製品。フローリングや小屋組み、壁パネルなど工場で製造した製品群で22%を占める。三つ目は窓枠やドアなどの木工製品で17%。四つ目は主に外装に使用する壁材や金属・コンクリート製品で8%。五つ目は石こうや断熱材などで売り上げの3%。残りの8%がその他となっている。
積極的なM&A
米国の住宅建設市場は、リーマン・ショックの影響で、00年台後半から数年間は深刻な苦境に陥ったが、その後は持ち直している。11年以降は、単世帯向け一戸建て住宅の着工件数が毎年増加しており、BFSの業績も市況の回復に合わせて伸びてきた。
需要が活発化する中で注力してきたのが同業他社とのM&A(合併・買収)である。過去10年間で20件以上の買収を実施してきたが、とりわけ15年にプロビルド社、21年にはBMC社を含む6社と統合したことで事業規模を大きく拡大した。建設資材の提供市場では地域ごとに多数の小規模な会社が乱立しており、全国で大きなシェアを持つ巨大プレーヤーが存在しない。
現在のBFSは業界最大手ではあるが、年間1500億ドル(約20兆2500億円)近い米国の一戸建て住宅用資材提供市場におけるシェアは10%程度でしかない。この状況で同業他社を買収して事業を統合すれば、より効率的に利益を上げることができると考えられている。
今年度も既に、アリゾナ州のホムコ・ランバー社、テキサス州のパネル・トラス社、アイダホ州のバレー・トラス社を買収している。買収効果もあり11年度に7.8億ドルだった売上高は21年度に199億ドルに拡大。13年度以降は毎年利益も出している。株価は10年間で10倍以上に値上がりし、株式時価総額は100億ドルを超えた。
建設業界をDXで変える
事業規模の拡大とともに最近力を入れているのが、デジタル・トランスフォーメーション(DX)の推進である。建設業界は農業分野などとともに、デジタル化が遅れている分野の代表格と指摘されているがBFSの経営陣は業界のリーダーとしてその状況を変えていきたいと明言している。実際、21年には米IT企業のWTSパラダイム社を4.5億ドルで買収するとともに、経営破綻した米スタートアップ企業カテラ社保有のソフトウエア資産も取得した。
パラダイム社は、99年に創業されたソフトウエア会社で、建設業界向けにさまざ…
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週刊エコノミスト
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