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経済・企業

肥大化した五輪ビジネス コンサルが担った「陰」の役割 佐藤健太

東京五輪の開会式は国立競技場で盛大に開かれたが……
東京五輪の開会式は国立競技場で盛大に開かれたが……

 五輪汚職事件により大会組織委員会の不透明な資金の流れが浮き彫りになった。

11年前も「裏の裏の裏があるドロドロした招致運動」との石原都知事

 史上初の延期、無観客、開幕直前のトップ辞任……。新型コロナウイルス禍で苦難の末、57年ぶりに五輪の灯火が東京にともったのは1年前。薄氷を踏むように開催された異例ずくめの東京五輪は、日本人アスリートたちが史上最多58個のメダルを獲得し、列島はメダルラッシュに沸いた。

 だが、その感動と興奮に今、冷や水が浴びせられている。大会の裏でうごめいていた「闇」がクローズアップされ、氷解しつつあるのだ。独自入手した複数の関係者の証言から五輪マネーを追うと、平和の祭典には利権や巨大ビジネスの場という「もう一つの顔」が浮かび上がる。

汚職は氷山の一角

 五輪開催は一体、誰のためだったのか。閉幕から1年、その根幹を揺さぶる事態が訪れている。東京五輪をめぐり、大会組織委員会の高橋治之元理事が五輪スポンサー側から賄賂を受け取っていたとして、東京地検特捜部は8月17日、受託収賄容疑で逮捕した。贈賄側は紳士服大手「AOKIホールディングス」創業者の青木拡憲前会長ら3人で、スポンサー選定や公式ライセンス商品の製造・販売契約に関し、17年10月から今年3月までの間にコンサルタント料名目で総額5100万円を振り込んだ疑いが持たれている。

 その行方は捜査や裁判に委ねるが、複数の組織委関係者の証言をつなげると、今回の汚職事件は氷山の一角に過ぎない実態が浮かび上がる。

 五輪のスポンサーは契約金や権利の利用で区分され、スポンサー料は最高位の「ゴールドパートナー」で約150億円、「オフィシャルパートナー」が約60億円、一番下の「オフィシャルサポーター」でも15億円程度が基準とされる。AOKIは18年10月に下位の「オフィシャルサポーター」となったが、スポンサーの契約料は同じランクの3分の1である5億円だった。さらに、JOC(日本オリンピック委員会)傘下の競技団体に「選手強化費」として2億5000万円が支払われたが、そのうち1億5000万円は高橋氏が代表を務めるコンサル会社「コモンズ」に流れたという。

 なぜ高橋氏は、こうした差配が可能だったのか。複数の組織委関係者によると、14年2月下旬、大会組織委トップである森喜朗元首相の会長室に関係者が集まった。出席者は森氏や下村博文文部科学相、JOCの竹田恒和会長(いずれも当時)ら少数で、話題の中心は組織委理事会の構成だった。女性の参加を促す意見が目立つ中、一人が発した言葉に場は静まる。

「元電通の高橋氏を加えてもらえないか」。発言したのは慶応義塾大で高橋氏の後輩にあたる竹田会長。高橋氏は11年9月に発足した五輪招致委の「スペシャルアドバイザー」としても活動しており、それも竹田会長の推薦だった。組織委関係者は「高橋氏には電通時代からの人脈と集金力がある。招致から開催まで『必要悪』として、頼りたかったのではないか」と漏らす。

 14年1月に発足した組織委は3月に理事34人を決定し、定員を35人とした。だが、翌月に大手広告代理店「電通」…

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