「日本株圧勝」は大企業製造業の堅調と賃金上昇が支えている 藤代宏一
9月20日時点で日本株は米国株に圧勝している。米国株(S&P500)が年初来18.2%の下落であるのに対し、日本株(日経平均)はわずか3.8%の下落にとどまっている。
この背景に、何があるのか。
まず一つは円安だろう。円安はマクロ的にみた場合、輸入物価上昇を通じて個人消費に下押し圧力をかけるなど、マイナス影響が指摘されるが、評価の対象を大企業製造業が多く含まれる日本株に絞れば、プラス影響の可能性が高いと筆者は考える(日経平均採用銘柄の6割は製造業)。
いうまでもなく、円安は輸出金額をかさ上げしたり、海外子会社の評価益につながったりするため、大企業製造業は恩恵を受けやすい。そこで日米相対株価(日本株÷米国株)と為替を同じグラフに描いてみると、3月以降の円安進行に伴って日本株の優位性が強まっていることがわかる。
絶対水準でみれば、円安でも日本株は上がらないというのは確かにその通りだが、相対株価をみると、円安のプラス影響が浮かび上がってくる。
繰り越し需要が出現
もう一つの理由は、内需の方向感が米国対比でいいことだろう。米国が2021年中にペントアップデマンド(パンデミックによって先送りされた需要)の大部分を食い尽くしてしまった一方、日本は経済活動の戻りが鈍かったため、今年になってようやく、ペントアップデマンドが姿を現し始めた格好だ。
この内需回復の持続性という点で、筆者が注目しているのは、日本の賃金動向である。ちまたでは「賃金は上がっていないのに物価ばかり上がる」ともいわれているが、実のところ賃金は上昇基調にある。
まず、代表的な賃金指標である毎月勤労統計をみてみると、22年1月以…
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週刊エコノミスト
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