米ホワイトハウスの「顔」は誰? 発信力は中間選挙にも影響 西田進一郎
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米ホワイトハウスの「顔」である大統領報道官の存在感が薄れている。4月の当欄では、サキ報道官(当時)が退任すれば、バイデン政権にとって打撃になりかねないと指摘した。そのサキ氏が5月に退任し、懸念が現実のものとなりつつあるようだ。
代わって報道官に就いたのはカリーヌ・ジャンピエール氏だ。両親は移民で、黒人系として、また同性愛者であることを公言する性的少数者(LGBTなど)として初めて大統領報道官に就いた。多様性を前面に掲げるバイデン政権の象徴的な人事として注目された。初の記者会見で「何世代にもわたって障壁を乗り越えてきた先人たちのおかげで、私は今日ここにいる」と語った姿は新鮮だった。
ちなみに私生活のパートナーはCNNのスーザン・マルヴォー氏。ホワイトハウス担当を長く務めた記者で、筆者にとっては2010年代前半に番組アンカーなどを務めていた「おなじみの顔」だ。
話を本人に戻す。鳴り物入りで就任したジャンピエール氏だが、メディアの評判は芳しくない。副報道官からの昇格だが、準備不足の感が否めず、「通り一遍」の回答が多い印象があるからだ。ホワイトハウスを担当する米メディアの知人も「やりとりに面白みがなく、ニュースで使える言葉が少ない」と辛口だ。
特に、経験が乏しいのは外交・安全保障政策の分野だ。報道官は「ゼロ回答」を避けつつ、ぎりぎりの言い回しで国内外にメッセージを発信するという難しい役回りをこなさねばならない。国務省報道官などのステップを経て就任したサキ氏との違いは大きい。
ホワイトハウスはすぐに手を打った。5月下旬に国家安全保障会議(NSC)の戦略広報調整官に国防総省のジョン・カービー報道官を迎えた。海軍出身で、オバマ政権で国防総省と国務省の報道官を務めた経歴を持つ。外交・安保分…
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週刊エコノミスト
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