半導体株、パワー・アナログは底堅く推移 阿部哲太郎
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半導体株の指標であるSOX指数は低調だが、電気自動車(EV)向けなどのパワーやアナログ半導体株が堅調だ。>>特集「半導体 反転の号砲」はこちら
設備投資抑制で先端技術関連は低調
米国の代表的な半導体株30銘柄で構成されるフィラデルフィア半導体株指数(SOX)は11月4日時点で昨年末の水準を約4割下回っている。
背景には米アップルの「iPhone14」の増産の撤回、巣ごもり需要一巡によるパソコン、スマートフォン向けの需要鈍化、インフレによる景気減速への懸念などさまざまな要因が重なっている。米国の利上げを巡る金融政策の不透明感も半導体株の重しとなった。
世界半導体市場統計(WSTS)は8月に2023年の世界の半導体売上高見通しを5.1%増から4.6%増に下方修正した。調査機関によっては2ケタ%のマイナス成長を予想している向きもあり、23年は市況の減速が避けられないとの見方が増えている。
加えて、台湾TSMC、キオクシアホールディングス、米マイクロン・テクノロジーなど大手半導体メーカーが続々と来期にかけての設備投資の抑制を発表した。さらに米国が10月に発表した中国への半導体先端技術の輸出規制も市況の不透明感につながっている。エヌビディアやアドバンスト・マイクロ・デバイセズ、ラムリサーチなどの前工程の先端技術に関する銘柄はSOX指数よりも下落率が大きくなっている。
ただ、足元では米国の金融引き締めのピークアウト観測で投資家心理は改善しつつある。さらに日米ともに直近の22年7〜9月期決算ではPCやスマホ、メモリー価格下落などの市況悪化が企業決算を下押ししたものの株価の反応は悪材料を少しず…
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週刊エコノミスト
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