国際・政治 FOCUS
米下院は共和党が多数派へ、バイデン政権に制約 前嶋和弘
有料記事
「民主党の善戦に見えるが、共和党が勝利した選挙」──。米国の中間選挙(11月8日投開票)の総括だ。民主党のバイデン大統領は、議会多数派を共和党に奪われることで、内政では「レームダック化(死に体)」が避けられなくなる。
本稿執筆時点(日本時間14日)の結果は表の通り。上院は、西部ネバダ州や南西部アリゾナ州で民主党候補が議席を獲得。民主党は、決選投票に持ち込まれた南部ジョージア州で議席を落としても上院議長を兼務するハリス副大統領が決裁票を投じることができることから多数派を維持する。下院は共和党の多数派が現時点では確実だ。
大統領の政党と議会多数派が異なるねじれが生じても、ひと昔前なら共和、民主両党が妥協して必要な法案を通してきた。しかし、近年は保守とリベラルが鋭く対立する分極化により、歩み寄りが成立しない。残り2年の任期中にバイデン氏が実現を狙う法案成立は絶望的だ。
第二次大戦後に行われた20回の中間選挙のうち、大統領の政党が議席を伸ばしたのは、ブッシュ(息子)元大統領が「テロとの戦い」を前面に出した2002年だけ。バイデン政権・民主党が、中間選挙での負けを見越して、前半の2年間で、公約に掲げた4政策の関連法案を成立させたことは老練だった。21年3月にコロナ関連の経済・雇用対策の「米国救済計画法」、同年11月に「インフラ投資法」が成立。子育て・教育支援と気候変動対策に向けた看板政策、「ビルド・バック・ベター法案」は、法案名を変えて予算額を縮小し、今年8月に「インフレ削減法」を成立させた。
外交・安全保障は大統領の専権事項であり、対中国、対ロシア、対日本でいずれも方針変更はないだろう…
残り650文字(全文1350文字)
週刊エコノミスト
週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で直近2カ月分のバックナンバーが読める