米ウォルト・ディズニーは動画配信が急成長中 小田切尚登
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Walt Disney 配信参入4年目で契約者数トップ/56
ウォルト・ディズニー・カンパニー(ディズニー)は、世界的なマスメディア・エンターテインメント企業である。1923年にウォルトとロイのディズニー兄弟によって設立されて以来、家族向けアニメをベースにテーマパークや映画を運営してきた。しかし、近年になってスポーツや各種映画などを配信するビジネスの比率が高まっている。
ディズニーは新型コロナウイルス禍により一時、大きな打撃を受けた。収益をテーマパークと映画館に依存する部分が大きいため、2020年9月期には赤字転落の憂き目をみた。しかし、21年から事業の収益は全体的に回復し、コロナ以前の水準に戻ってきている。
ディズニーの21年9月期の売上高は前期比3%増の674億ドル(約9兆7730億円)だった。内訳はテレビが42%、ストリーミングが24%、スタジオ・コンテンツ配給が11%、テーマパーク・ホテルが24%となっている。営業利益と純利益はいずれも前期の赤字から黒字化した。
事業別ではテレビは地上波とケーブルテレビが中心で、ディズニーチャンネルに加えて、テレビネットワークのABC、スポーツ・ケーブル・ネットワークのESPN、ドキュメンタリーのナショナル・ジオグラフィックなどを含む。近年、地上波テレビは不振だが、ケーブルテレビの収益性は高く安定的で、今も最大の収益を上げる部門である。中でもスポーツ専門のESPNの収益性は高く、ライブのスポーツ中継の人気が根強いことが要因である。
インターネットを使った動画配信のストリーミング部門は、現在最も伸びている分野だ。ディズニーの参入は19年と遅かったが、急速に伸びている。同社の契約者数は2億2110万人(22年7月時点)で、同年4〜6月期に1440万人増。先行していたネットフリックスを超えて業界最大の契約者数となった。
時間がかかる投資回収
ストリーミングは「Disney+」「Hulu」「ESPN+」というラインアップとなっている。「Disney+」は子どもと家族向け、「Hulu」は大人向け、「ESPN+」がスポーツ専門というバランスの…
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週刊エコノミスト
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