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週刊エコノミスト Online 書評

女王の妹と幼なじみの著者が描く、英国貴族の奔放と呪い 楊逸

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 落ち葉の乾いた音は歩幅に合わせて響く。ちょっぴり寂しくなった。

『マーガレット王女とわたし イギリス王室のおそばで歩んだ女官の人生』(アン・グレンコナー著、立石光子訳、白水社、2970円)を読む。

 この9月にエリザベス女王が逝去。国葬の様子が日本でも大々的に報じられ、英王室はまた話題に上り、人々の興味をかき立てた。

 本書の著者、アン・グレンコナー男爵夫人は、女王の妹マーガレット王女の幼なじみで、女官として30年間も傍らで仕えただけでなく、初恋の相手はあのダイアナ妃の父親。また21歳の時、1953年6月2日に執り行われたエリザベス2世女王の戴冠式で「女王陛下のお裾持ち(メイド・オブ・オナー)」を務める6人のうちの一人に選ばれるなど、王室と深い関わりを持つ人物だ。

 生まれ育ちはイングランド東部ノース・ノーフォークのお城「ホウカム・ホール」。「癇癪(かんしゃく)持ち」の男爵と結婚してからは5人の子どもをもうけたものの、子育てをほぼ乳母に任せ、スコットランドやロンドンに散らばる別荘邸宅で貴族仲間を招待し、豪勢なパーティーやピクニックを行い、楽しんでいた。

 だがその華麗なる生活に不幸も潜んでいた。長男が薬物依存、次男がエイズ、三男が交通事故。そして浮気性の夫は、カリブ海のマスティク島を有名リゾートに作り上げるという商才が光る一方、生前は私生児の存在を告白したり、死後にも衝撃の内容の遺言書が出てきたりして、妻に苦労ばかりかけるお方だった。

「自分を憐れんでくよくよしたところで、どうなるものでもありません。わたしが知っているどのカップルも、ほぼ例外なく、他人の夫や妻と関係を持っていました。結婚した男女が互いに終生貞節を守るというケースは、珍しかったのではないでしょうか。貴族階級の呪いです」

 著者自身にも「支えてくれる男性」がいたとの告白は、いくらか、マーガレット王女にまつわる「スキ…

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