世界経済の減速で日本の持ち直しペースは鈍化の見込み 木下茂
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内閣府が12月8日に公表した2022年7~9月期の国内総生産(GDP)統計2次速報で、成長率が1次速報の前期比マイナス0.3%からマイナス0.2%へ上方修正された。内訳をみると種々の項目で上方・下方修正されているが、中でも個人消費の下方修正(前期比プラス0.3%→プラス0.1%)と、在庫投資の上方修正(寄与度マイナス0.1%→プラス0.1%)が目を引く。7~9月期のGDP統計は全体として経済状況を楽観できるものではなかったように思われる。
22年度後半は、社会経済活動の正常化の継続が景気を支える要因として期待されよう。特に入国規制の緩和、全国旅行支援の効果から、インバウンド需要やサービス消費の持ち直しが見込まれる。また、企業の設備投資も好調な企業収益を背景に増勢持続が予想される。12月12日公表の「法人企業景気予測調査」(10~12月期調査)における企業の投資計画をみても、22年度は前年度比13.2%増と前向きな投資スタンスがうかがわれる(全産業・全規模、ソフトウエアを含み土地を除くベース)。
23年度は世界経済減速の影響から、日本経済の持ち直しペースは鈍化しよう。JA共済総合研究所では、今冬から23年前半にかけてユーロ圏、米国ともマイナス成長に陥るなど景気後退に入るとみており、輸出の低迷、製造業の収益鈍化、設備投資の減速が景気の下押し圧力になると予想している。しかし、日本は社会経済活動の正常化が続くことから、経済は相対的に底堅く推移するとみる。実質GDP成長率は、22年度がプラス1.4%となった後、23年度はプラス0.8%まで鈍化すると予測している。
インフレ率2.4%へ
インフレ率は、全国の消費者物価指数(CPI)のコア(除く生鮮食品)が22年10月、前年同月比プラス3.…
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週刊エコノミスト
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