米国の脱炭素戦略の中核アメレスコ 児玉万里子
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Ameresco エネルギー効率向上に貢献/60
米国のアメレスコは、エネルギーを効率化する省エネサービスに従事している。2000年4月に現CEO(最高経営責任者)のジョージ・サケラリス氏が会社を設立、翌年に米国内3州に4カ所の事務所を開設、その後事業は拡大し、21年末には北米・英国に65カ所のオフィスを構えている。10年には株式をニューヨーク証券取引所に上場した。
エネルギー効率化ソリューションを提供する事業はESCO(エネルギー・サービス・カンパニー)事業と呼ばれる。アメレスコは独立系のESCO専業会社として大手事業者の一角に位置しており、設計、開発、資金調達、建設のフルサービスを提供している。
米国では1970年代後半のエネルギー危機を契機にESCOが立ち上がった。エネルギー市場の動向を反映して縮小・拡大を繰り返し、そのなかで事業者の再編が進んできた。今日、米国のESCO市場では連邦政府、州政府、病院・学校などの公共施設、一般企業などが顧客となっている。
アメレスコでは、初めて通年で事業を展開した01年から11年まで、売上高は急速に伸びていった。戦略的な同業買収によって、事業分野、顧客分野、あるいは事業地域を拡大できたからだ。ただ、12~13年には、連邦政府予算関連の遅延がプロジェクトの進行に影響したため売上高は減少し、回復に向かったのは14年以降である。20年から売上高の伸びは加速し、21年12月期は12億1569万ドル(約1665億円)を記録。現在、米国内の売上高が9割以上を占めている。
安定した米政府関連事業
アメレスコの事業は主に三つに分けられる。第一は省エネプロジェクトの請負。エネルギーコストや保守コストの削減のための企画、開発、エンジニアリング、建設などである。1カ月程度のものから3年ぐらいかかるものまで、規模や期間はさまざまである。この事業の売上高は総売上高の約7割を占めるが、売上高利益率は高くはない。
第二は太陽光発電など再生可能エネルギーの小型発電施設の建設・保有・運用。21年12月末現在、発電施設147カ所を保有・運営し、電気、熱、冷気、その他の…
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週刊エコノミスト
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