米国株はグロース銘柄が仕込み期に 景気後退懸念なら「地道な企業」に投資せよ 岡元兵八郞
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2023年の景気後退入りがコンセンサスとなっているいま、注目すべきは車や家の修繕、生活必需品やゴミ処理などの地道な事業に強い企業だ。
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米国ではポストコロナの経済の再開でものの値段が上がってきていたのに加え、2022年2月に始まったロシアのウクライナ侵攻によって引き起こされた40年ぶりの高インフレを抑えるため、米連邦準備制度理事会(FRB)は大幅な金融の引き締めを継続して行っている。これによって、22年の米国株はベアマーケット(弱気相場)入りし、非常に厳しい一年となった。
金融市場では23年にリセッション(景気後退入り)に陥り、さらに1段階、米国株が落ち込むという見立てがコンセンサスになっている。しかし、筆者は今回のベアマーケットについてはその期間の7割を乗り越えており、続いてもあと数カ月、23年の4月までを境に業績の回復にサポートされる形で上昇に転じると見ている。景気の一時的なスローダウンはあるものの、それほどシビアなリセッションにはならないだろう。
リセッションが市場のコンセンサスと考えれば、今後の米国民の生活行動で変わるもの、変わらないものに着目すると、注目すべき銘柄が見えてくる。
修繕・ゴミ処理に妙味
景気が悪くなると一般的に購買意欲は落ち込む。例えば自動車については購入を控える行動が起きやすい。米国の中古車価格の指標となるマンハイム指数は、22年11月時点で前年同月比マイナス14.2%、すでに買い控えによる余剰在庫も生まれ始めている。多くのドライバーの視点は、所有している車をできるだけ長く乗るという方向にシフトしており、自動車のメンテナンス関連製品の売り上げは、堅調に推移するものと思われる。自動車の修理部品や工具を扱う専門小売店を全米約5700カ所で運営するオライリー・オートモーティブのような企業は、今後の好業績が期待できよう。
米国では住宅ローン金利の上昇によって、住宅の購入が難しくなっている。加えてリセッションによる住宅価格の下落も懸念されるとなれば、現在の状況での購入はリスクでしかない。住宅の購入者は減少する半面、自宅のリフォーム需要は高まりを見せている。米国では家の修繕を行うことでその資産価値をキープできる、もしくは価値が上がる立派な投資対象と考えられていることも高需要の要因の一つだろう。このような流れから、ホームセンター大手のロウズ・カンパニーズは注目したい企業だ。
買い控えが起こる一方で、景気が悪くなっても生活必需品の購入をやめることは難しい。プロクター・アンド・ギャンブル(P&G)のような企業…
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週刊エコノミスト
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