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教養・歴史 小川仁志の哲学でスッキリ問題解決

不幸な人たちのためにできる最も直接的で、効果的なことは?/158

シモーヌ・ヴェイユ(1909~1943年。フランスの哲学者。死後友人によって出版された本によって知られるようになった。著書に『重力と恩寵』などがある。(イラスト:いご昭二)
シモーヌ・ヴェイユ(1909~1943年。フランスの哲学者。死後友人によって出版された本によって知られるようになった。著書に『重力と恩寵』などがある。(イラスト:いご昭二)

Q 不幸な人たちのためにできる最も直接的で、効果的なことは?

 世の中には不幸な人がたくさんいます。そうした人たちのために何かをしたいのですが、一番効果的なことは何でしょうか? 寄付だけではなく、より直接的なことがしたいのですが。(航空業界勤務・40代女性)

A 抗議の声を上げるため不幸な状況の言語化能力アップを支援しよう

 不幸な人といっても、置かれた状況はさまざまだと思います。病気で苦しむ人たち、貧困にあえぐ人たち、あるいはいわれなき差別を受ける人たちなど。そんな状況の人たちに共通する要素は何か?

 そこで参考にしたいのは、不幸を哲学したフランスの哲学者シモーヌ・ヴェイユです。彼女は工場で働く人たちの気持ちを理解しようと、自らも未熟工として働くなど当時不幸な立場にあった人たちに徹底的に寄り添いながら思索を続けてきた人物です。

 そんなヴェイユによると、不幸には三つの要因があるといいます。一つ目は、身体的要因です。何らかの身体的苦しみが伴うということです。二つ目は、心理的要因。これは単に今、心が苦しいというだけではなく、一度苦しみを味わうと、ずっと悩まされ続けるという問題をはらんでいます。三つ目は社会的要因です。不幸な人たちは、社会から葬り去られ、他者から取るに足らない存在として扱われてしまうのです。

不幸の三つの要因

 身体的苦痛、心の苦痛、社会的に軽んじられる状況。これらが人を不幸に陥れて…

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週刊エコノミスト

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