新規会員は2カ月無料!「年末とくとくキャンペーン」実施中です!

教養・歴史 小川仁志の哲学でスッキリ問題解決

日本では女性というだけで差別を受ける/159

パトリシア・ヒル・コリンズ(1948年〜)。アメリカの社会学者。人種、ジェンダー、階級に関する研究で知られる。著書に『Black Sexual Politics』(未邦訳)など。(イラスト:いご昭二)
パトリシア・ヒル・コリンズ(1948年〜)。アメリカの社会学者。人種、ジェンダー、階級に関する研究で知られる。著書に『Black Sexual Politics』(未邦訳)など。(イラスト:いご昭二)

Q 日本では女性というだけでいろいろな差別を受けます。解決策は?

 世の中にはさまざまな種類の差別が存在しますが、日本社会では女性である時点で、いろいろな差別を受けます。解決するためには、いったいどこから手を付ければいいのでしょうか?(団体職員・30代女性)

A 「交差性」という分析ツールで、六つの視点から差別の本質を洗い出そう

 これは昨今「インターセクショナリティ」と呼ばれている領域の問題だと思います。日本語では交差性などと訳されることもあります。つまり、複数の差別状況が重なっている状態のことです。

 これは単なる足し算のイメージではありません。そう考えるだけでは単に複合差別というべき発想にとどまり、インターセクショナリティが暴き出そうとする問題に迫ることはできません。

 アメリカの社会学者パトリシア・ヒル・コリンズらによると、インターセクショナリティとは、人々が直面している問題を解決するための分析ツールだといいます。とりわけ、人種、階級、ジェンダー、セクシュアリティ、ネイション、能力、エスニシティー(民族)、年齢などのカテゴリーにおいて相互に交差する=複数の要因が絡み合う問題を扱います。

一気に全問題に対処

 つまり、複数の問題が交差している場合、それは単なる足し算ではなく、新たな別の問題として立ち現れてくるわけです。それゆえに、それぞれの問題にアプローチするだけでは解決できない状況が生じ…

残り755文字(全文1355文字)

週刊エコノミスト

週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。

・会員限定の有料記事が読み放題
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で直近2カ月分のバックナンバーが読める

通常価格 月額2,040円(税込)が、今なら2ヶ月0円

週刊エコノミスト最新号のご案内

週刊エコノミスト最新号

11月26日号

データセンター、半導体、脱炭素 電力インフラ大投資18 ルポ “データセンター銀座”千葉・印西 「発熱し続ける巨大な箱」林立■中西拓司21 インタビュー 江崎浩 東京大学大学院情報理工学系研究科教授、日本データセンター協会副理事長 データセンターの電源確保「北海道、九州への分散のため地産地消の再エネ [目次を見る]

デジタル紙面ビューアーで読む

おすすめ情報

編集部からのおすすめ

最新の注目記事