“習1強”リスク露呈 ゼロコロナ終結で感染爆発 河津啓介
有料記事
米調査会社「ユーラシア・グループ」が恒例の「今年の10大リスク」を発表した。首位の「ならず者国家ロシア」に次ぐ2位が「絶対的権力者・習近平」だった。毛沢東以来の比類なき存在となり「恣意(しい)的な決定、政策の不安定さ、不確実性の増大が常態化する」と分析する。
ジェットコースターのような「ゼロコロナ」政策からの転換と、その後に表面化した新型コロナウイルスの感染爆発を見ると、習国家主席の権力集中に潜むリスクは既に現実化したように映る。
3年間近く続いた国内の行動制限や出入国規制が一気に緩和された。国営新華社通信の記事(1月8日)によると、昨年11月10日、習氏が主催する最高指導部の会議で「ゼロコロナの難度が高くなり、社会的コストが増大している」との認識に達したことが転機になったという。
中国政府は「ウイルスが弱毒化し、医療体制を整えるための時間を稼いだ」と主張したが、説得力に欠ける。ワクチン接種や医療体制の備えが十分ではなく、医療現場は大混乱に陥った。病院には患者が殺到し、医療従事者は感染しても働かざるを得ない。死者の急増で火葬場には行列ができているという。
1月9日の中国中央テレビによると、河南省の衛生当局は独自調査を基に、1億人近い省人口のうち89%が感染しているとの推計を示した。北京市や四川省など他の地域でも同じようなデータが示されており、中国全土では億単位規模で感染が広がっている模様だ。今後100万人以上の死者が出るとの予測もあるが、厳しい情報統制で死者や重症者の数は不透明だ。
経済は先行き不透明
習指導部はこれまで欧米よりも感染被害を抑えてきた成果を、一党支配が優れている…
残り689文字(全文1389文字)
週刊エコノミスト
週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で直近2カ月分のバックナンバーが読める