米仏の圧力で独がウクライナに装甲車 次は戦車 熊谷徹
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ドイツ政府は1月6日、同国製マルダー装甲歩兵戦闘車40両をウクライナに供与すると明らかにした。武器供与に消極的なショルツ独首相の姿勢に批判が高まる中、北大西洋条約機構(NATO)加盟国の圧力が今回の決定の背景にある。
独日刊紙『ベルリーナー・ツアィトゥング』1月5日付電子版によると、「バイデン米大統領は同国製のブラッドレー歩兵戦闘車を、マクロン仏大統領は同国製のAMX-10偵察戦闘車をウクライナに供与する方針を明らかにした」という。
ウクライナのゼレンスキー大統領は、去年4月からマルダーの供与を要請。これに対しショルツ首相は、「どの国もまだ西側製の装甲歩兵戦闘車をウクライナに送っていない。ドイツが他国に先駆けて送ると、ロシアから交戦国と見られるかもしれない」と、供与に反対した。だが、同首相は米仏に背中を押される形で、自国の装甲歩兵戦闘車の輸出に青信号を出した。
戦車の供与についてもドイツへの圧力は高まる。英日刊紙『ガーディアン』の1月14日付電子版は、「英政府が同国製のチャレンジャー2型戦車のウクライナ供与を決めた」と報じた。
ゼレンスキー政権は今年春の反攻作戦に備えて、西側の戦車の供与を求めている。独日刊紙『フランクフルター・アルゲマイネ(FAZ)』は1月13日付紙面で「ウクライナ軍は戦車を約1500両持っているが、全てロシア製戦車で、弾薬や部品が不足している。ウクライナはロシア軍を領土から駆逐するために、西側の戦車300両、装甲歩兵戦闘車600~700両を必要としている」と伝えた。
ゼレンスキー政権は、ドイツのレオパルド2型戦車を強く希望している。1月13日付FAZは、「…
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週刊エコノミスト
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