パリ・オペラ座-諸芸術とのつながり 舞台裏の微笑ましい一瞬 石川健次
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美術 パリ・オペラ座─響き合う芸術の殿堂
パリ・オペラ座の稽古(けいこ)場でバレエのレッスンをする踊り子たちを描いている。図版に挙げた作品だ。印象派の画家として知られ、たくさんの踊り子を描いて“踊り子の画家”とも謳(うた)われるエドガー・ドガ(1834~1917年)の《バレエの授業》である。
画面の中央やや右寄りで杖(つえ)を突き、足を踏ん張ってにらみを利かせているのは先生だ。きっと怖いに違いない。どの踊り子も真剣そのもの……かと思いきや、案外そうではない?
太陽王ルイ14世によって設立された王立音楽アカデミーを前身に、1669年に作られ、350年以上にわたってバレエ、オペラを上演し続けているパリ・オペラ座は、フランスを代表する歌劇場でパリ観光の目玉の一つにもなっている。
一方、印象派の先駆的画家と称されるエドゥアール・マネ(1832~83年)がオペラ座の仮面舞踏会を主題に描き、愛をテーマに描き続けたマルク・シャガール(1887~1985年)は文化大臣アンドレ・マルローの依頼でオペラ座の天井画を描いた。美術や文学などさまざまな芸術分野と関係が深いオペラ座の歴史を振り返りつつ、諸芸術との多様なつながりを詳(つまび)らかにするのが本展だ。
パリ・オペラ座に憧れ、自作の上演を夢見た作曲家のリヒャルト・ヴァーグナー(1813~83年)が、ナポレオン3世の勅命で「タンホイザー」パリ版を初演し…
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週刊エコノミスト
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