教養・歴史小川仁志の哲学でスッキリ問題解決

最近新刊本がどんどん出て、何を選べばいいか分かりません/161

M.J.アドラー(1902~2001年)。アメリカの哲学者。『ブリタニカ百科事典』の編集委員長としても知られる。著書に『天使とわれら』などがある。(イラスト:いご昭二)
M.J.アドラー(1902~2001年)。アメリカの哲学者。『ブリタニカ百科事典』の編集委員長としても知られる。著書に『天使とわれら』などがある。(イラスト:いご昭二)

Q 最近新刊本がどんどん出て、何を選べばいいか分かりません 子供の時からの本好きで、趣味は本屋巡り。近年新刊が出る頻度が高まっているように感じます。たくさんある本の中からどれを選べばいいでしょうか?(造船関連企業勤務・30代男性)

A 無人島に持参すると仮定し、自らとともに「成長し続ける本」を選ぼう

 最近は何が売れるか分からない時代なので、出版社もたくさんの種類の本を少部数出版し、売れ行きのいいものに増刷をかけていく戦略をとっているようです。また、ネットメディアに対抗するためには、どんどん新しい情報を出していく必要もあるのでしょう。

 そんな中で私たちは、どの本を選んでいけばいいのか。アメリカの哲学者M.J.アドラーらの読書論が参考になります。アドラーらは、まず本の読み方について積極性が必要であることを論じたうえで、自分の力以上の難解な本に取り組まなければならないと説いています。それによって、はじめて精神が成長するからです。

次々新たな姿見せる本

 では、具体的にどんな本が私たちの精神を成長させてくれるのでしょうか。なんとそれは成長する本だといいます。普通は本は成長することはありません。一度書かれたら、それで終わりです。むしろ成長するのは私たちの方のはずです。

 ここでアドラーらが言いたかったのは、私たちの成長とともに、また新しいことを提示してくれるのが優れた本だということです。そのためには…

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