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教養・歴史 小川仁志の哲学でスッキリ問題解決

最近、世の中を変えると気概のある人が少ない/162

ヤーコプ・ヨハン・バロン・フォン・ユクスキュル(1864~1944年) ドイツの生物学者、哲学者。環世界概念によってさまざまな分野に影響を与えた。著書に『生命の劇場』などがある。(イラスト:いご昭二)
ヤーコプ・ヨハン・バロン・フォン・ユクスキュル(1864~1944年) ドイツの生物学者、哲学者。環世界概念によってさまざまな分野に影響を与えた。著書に『生命の劇場』などがある。(イラスト:いご昭二)

Q 最近、世界を変える!との気概にあふれた人が少ないのですが 私も含めて最近、みんな小さくまとまり、世の中がつまらなくなっているように感じます。昔はもっと誰もが世界を変えてやろうという気概にあふれていた気がするのですが。(地方公務員・50代男性)

A 自らの「環世界」を豊かに構築し、ベンチャー志向あふれる人間になろう

 コロナによるパンデミック(世界的大流行)やウクライナ戦争もそうですが、これだけ世の中に翻弄(ほんろう)されると、多くの人たちは、もうかろうじて生き延びていくのが精いっぱいと思うのかもしれません。ましてやそんな世界を自分が変えるなどという大それた考えを持つのは難しいといえます。

 ただ、そんな中でも果敢に挑戦し、世界を変えようとする人はいるものです。この違いはどこにあるのか? 今回は生物学者であり哲学者でもあるヤーコプ・フォン・ユクスキュルの「環世界」の概念からこの問題にアプローチしてみたいと思います。

世界把握再考のススメ

 ユクスキュルは、人間を含めた多様な生物が、一見同じ世界に棲(す)んでいるようで、実はそれぞれ異なる世界に棲んでいることを明らかにしました。なぜなら、生物によって知覚する能力が異なるため、見ることのできる世界、捉えることのできる世界が変わってくるからです。

 たとえば、ハエの視覚は人間よりも荒い構造になっているので、私たちとはまったく違う世界を見ています。あ…

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