教養・歴史小川仁志の哲学でスッキリ問題解決

同じ部署でいがみあい、対立がエスカレートするばかりです/163 

グレゴリー・ベイトソン(1904~1980年)。アメリカの思想家。専門は人類学や言語学。サイバネティクスの創設にも大きな影響を与えた。著書に『精神と自然』などがある。(イラスト:いご昭二)
グレゴリー・ベイトソン(1904~1980年)。アメリカの思想家。専門は人類学や言語学。サイバネティクスの創設にも大きな影響を与えた。著書に『精神と自然』などがある。(イラスト:いご昭二)

Q 同じ部署でいがみあい、対立がエスカレートするばかりです 同じ部署なのに、チーム同士でいがみあっています。本来役割分担でチームが作られたわけですから、いがみあっているのはおかしいと思うのですが、最近は対立がエスカレートするばかりです。(製薬メーカー勤務・40代女性)

A ナヴェンの儀式に見る対立抑制促す「外的要素」の見つけ方が参考に

 集団というものは、どうしても対立しがちです。対等なライバル関係にあるならもちろんのこと、上下関係がある場合や互いに協力し合う関係にある時でさえそうです。これは職場に限らず、家族関係から国家間の関係に至るまで、すべてに当てはまることだといえます。

 そのような分析をしたのが、アメリカの思想家グレゴリー・ベイトソンです。彼は集団同士の関係を基本的に2種類に分けています。一つ目は、二つの集団が対称的な関係にある場合、二つ目は、二つの集団が相補的な関係にある場合です。対称的というのは、対等なライバル関係にあるような状態だと思ってもらえばいいでしょう。これに対して相補的というのは、上下関係がある場合も含め互いに補いあっている状態です。

チームの夢で分裂回避

 問題は、このいずれの関係においても、放っておくと、互いの対立が深まっていくという点です。対称的関係においては、ライバルのように互いが競争を激化させていきます。相補的関係でも支配・被支配の関係を見ればわかるように、…

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