ポストコロナの春節はサービス消費回復 リベンジ消費の“うねり”は来るか 岸田英明
いわゆる「ゼロコロナ政策」を昨年12月に解除した中国で、サービス消費の回復が進む。
政府推計によると、2023年の春節休暇中(1月21~27日)の国内旅客数は延べ3億800万人、関連消費は3758億元(約7.2兆円)で、それぞれコロナ禍前の19年の7割超まで戻した。多くの行動制限が残った22年との比較では、旅客数は2割超、関連消費は2割近く増加。23年の春節の映画鑑賞者は延べ1億2900万人、興行収入は67.6億元(約1300億円)、鑑賞者数は19年にほぼ並び、興行収入は同年の58億元(約1100億円)を大きく上回った。
ちなみに、興行収入1位はチャン・イーモウ監督の「満江紅」で、1週間で26億元(約500億円)を稼ぎ出した。参考までに、日本の年間の歴代興行収入1位は20年の「劇場版『鬼滅の刃』無限列車編」の404億円だが、「満江紅」はわずか1週間でそれを上回った。
戻りが遅い自動車
旅行や映画に限らず、中国のサービス業の景況感は急速に改善している。国家統計局発表の1月のサービス業PMI(購買担当者景気指数、50が好不況の分かれ目)は54.0と、緩和の反動でコロナが急激に広がった12月の39.4からV字改善した。業種別では鉄道・航空運輸、金融、保険などで特に好況感が強く60以上をつけた。
一方、不動産は22年の深刻な景気後退が尾を引き、50以下にとどまった。製造業PMIも改善しているが、12月の47.0から今年1月の50.1と振れ幅は小さい。それだけ12月にサービス業が受けた打撃と、その後の反動が大きかったことが分かる。
実際、12月は全国の飲食売上高が前年同月比マイナス14.1%(22年通年はマイナス6.3%)と、急速なウィズコロナ移行に伴う“痛み”が如実に表れた。ただし同じ経済への痛みでも、仮にゼロコロナ政策を維持していたら、この間のサービス消費の落ち込みはもっと深刻だ…
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週刊エコノミスト
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