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国際・政治 ワシントンDC

“信頼”こそ日本のキラーコンテンツ “三方良し”の日米連携を 多田博子

北米国際自動車ショーに出展した日本企業のブース(2022年9月)。米国で日本車への信頼度は高い Bloomberg
北米国際自動車ショーに出展した日本企業のブース(2022年9月)。米国で日本車への信頼度は高い Bloomberg

 米国人の同僚が財布を無くした。中には運転免許証、日本のマイナンバーに相当する米国のソーシャル・セキュリティー・ナンバー証、クレジットカードなどが入っていたといい、かなり落ち込んでいた。その数日後、自宅に差出人不明の封筒が届き、財布と中身の一式が無傷で戻ってきたという。この話を聞き、米国人の同僚たちは「まるで日本での出来事のようだ」と喜んでいた。

 別の同僚は大型の米国車に乗っているが、故障が多く、「買い替えるときは日本車にする」と話す。筆者が配車大手ウーバーを利用する際は、利用する車の約9割が日本車という感覚である。

 最近、米国では中国の動画投稿アプリ「TikTok」(ティックトック)やファストファッションのシーイン、韓国のバッテリーやK-POP、台湾の半導体が広く受け入れられている。中国は、政治的思惑はさておき、米国市場をよく調査し、顧客のニーズをくみ取り、消費者が求めるものを提供している。韓国のバッテリーや台湾の半導体はまさに彼らのキラーコンテンツ。地政学及び各国の産業政策を研究し、欧米企業が自らのバッテリーや半導体無しでは立ち行かない状況を戦略的に作り出している。

 K-POPに至っては、人気男性グループのBTSが昨年、ホワイトハウスに招待され、新型コロナウイルス禍に端を発したアジア人ヘイトについて、「人種差別に心を痛めている」と発言。人権を最も重視するバイデン大統領の心に響く訪問を演出した。

 一方で、世界に通じる日本のキラーコンテンツは何だろうか。財布や日本車の例からも明らかなように、日本への「信頼」ではないかと思う。

 筆者の所属親会社の創業が1858年と聞くと、大抵の米国人が驚く。米国の上場企業の平均操業年数は21年と短いので驚きももっともだが、次に聞かれることは、「一体どうすれば長続きできるのか」である。「会社が扱っているものは時代や市場、消費者に合わせて変わるが…

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