死者5万人超のトルコ地震 震源の浅さが大きな揺れ招く/138
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トルコ南部で2月6日に発生した直下型地震は、トルコ・シリア両国での死者が2月25日までに5万人を超える大災害となった。2011年の東日本大震災による死者・行方不明者数の1万8400人余りを大きく上回り、その後も増え続けている。これほどまでに犠牲者数が拡大したのは、複数の要因が重なったためである。
まず、直下型地震としては最大規模のマグニチュード(M)7.8およびM7.5という地震が立て続けに発生し、最初のM7.8の地震で亀裂が入った建物が、その9時間後に起きたM7.5の地震で倒壊する例が相次いだ。
M7.8の地震の震源は、200万人が住む南部の大都市ガジアンテプ付近で、日本の震度に換算して震度7に相当する激しい揺れが観測された。また震源の深さが17.9キロメートルと浅く、エネルギーが減衰することなく地表へ到達したため、震度6強や6弱に相当する揺れが東アナトリア断層に沿って160キロメートルもの広範囲に及んだ。
M7.8の地震が起きたのは現地時間で午前4時17分の未明で、睡眠中の人々が倒壊した建物の下敷きになるケースが多かった。また、揺れの周期については、大型の建造物にも被害が出る恐れのある1~2秒程度の揺れが観測された。そのため、1500年以上の歴史を持つトルコ南部の遺跡・観光名所である城塞跡「ガジアンテプ城」も損壊し、がれきが路上に散乱した。
パンケーキクラッシュ
さらに、建物が垂直に押しつぶされる「パンケーキクラッシュ」と呼ばれる現象が各所で見られ、被害をさらに拡大した。その名の通り建物の柱が衝撃で折れ、各フロアがパンケーキやミルフィーユのように折り重なって崩れる極めて危険な壊れ方である。パンケーキクラッシュが起きると、建物の中にいる人は逃げる間がないため被害が拡大する。日本では阪神・淡路大震災(1995年)や熊本地震(16年)で見られ、後者では築50年を超えた熊本県の宇土市役所庁舎が半壊した。
トルコは日本と同じく地震が多い国で、99年に北西部イズミットの北アナトリア断層で起きたM7.4の地震で1万7000人以上が死亡した。この地震をきっかけにトルコ政府は耐震基準…
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週刊エコノミスト
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