教養・歴史小川仁志の哲学でスッキリ問題解決

首相側近による同性愛者への差別発言、改善の方法は?/166

ハンス・ゲオルク・ガダマー(1900~2002年)。ドイツの哲学者。独自の哲学的解釈学を提唱した。著書に『真理と方法』などがある。(イラスト:いご昭二)
ハンス・ゲオルク・ガダマー(1900~2002年)。ドイツの哲学者。独自の哲学的解釈学を提唱した。著書に『真理と方法』などがある。(イラスト:いご昭二)

Q 首相側近による同性愛者への差別発言、改善の方法は?「見るのも嫌だ」という首相側近による同性愛者を差別する発言が問題になりました。どうしたら、そういう間違った考えを変えることができるのでしょうか?(書店経営・40代男性)

A 過去に縛られない「第三の地平」を成立させ、理解と尊重度を上げましょう

 この発言には私も驚きました。それは、こういう考えを持っている人がいることへの驚きではなく、それを政府の公人がオフレコの場とはいえ、口にすることへの驚きです。

 その発言がどれだけ同性愛者に不安を与えるか、わかっていないのですから。あるいは、わかっていたとしたらなお問題です。

 同性愛に反対な人もいれば、異性愛になじめない人もいるでしょう。だからといって、そうした人たちを社会から排除しようとの考えでは何も変わりません。大事なことは、個人的にどんな性的志向を持っていたとしても、お互いを理解し、人権を尊重することです。

開かれた態度で臨む

 そのために参照したいのが、ドイツの哲学者ハンス・ゲオルク・ガダマーの「解釈学」です。解釈学とは、基本的にテキスト(文章)を解釈する際の考え方なのですが、彼の唱えている「地平の融合」という概念は、あらゆる対立に応用可能だと思います。

 ガダマーによると、人はそれぞれの先入観や価値観のもとに物事を解釈しており、それを地平と表現します。自分の立つ位置のようなイメージです。そし…

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