歴史に学び100年単位のデータ分析 稲留正英
有料記事
『次はこうなる 2023年』
著者 市岡繁男さん(相場研究家)
混沌の時代を生き抜く知恵が満載
弊誌に2018年の秋から執筆している人気マーケット連載「グラフの声を聞く」を基に解説を加え、再構成した。21年12月上梓の第1弾に続く、第2弾となる。
本書の特徴は、世界中の株式、債券、商品、為替、不動産相場と、古今東西の経済データを組み合わせ、世界経済や政治の先行きを大胆に占うところにある。
類書にない強みの一つが、採用するデータの長さだ。期間は場合によっては100年、200年に及ぶ。それを、内外の新聞、雑誌、書籍にとどまらず、各種の歴史書や聖書まで渉猟して得たデータと突き合わせる。「できるだけ長いデータを取り、それを、別のデータと組み合わせると、普通のグラフでは見えないものが見えてくる」
その背景には、「歴史は繰り返す」という著者の洞察がある。前書き部分に、旧約聖書から、「かつてあったことは、これからもあり、かつて起こったことは、これからも起こる」(コヘレトの言葉)を掲げたのは、そうした理由からだ。
基本となるのが、金利の60年サイクルだ。中国の十二支やコンドラチェフの景気循環と同じで、太陽の活動とも密接に結びついている。「1981年にピークを付けた米金利は40年間下がり続け、20年に底を打った。サイクルに基づけば今後20年間は金利は上がり続けることになる。金利の上昇とともに、これまでの安定の40年間が終わる。そこから、誰も想像できないようなパラダイムシフトが起こる」
もう一つ、重要なのが、80年周期のサイクルだ。これは人間の活動は、「安定の60年」とその前後10年の「混乱の20年」で構成されているという説に基づく。「1780年代は仏革命や米独立戦争、1860年代は明治維新や米南北戦争、1940年代は第二次世界大戦があった。その次の2020年は新型コロナウイルスが発生。そして、2…
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週刊エコノミスト
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