対露依存続く中央アジアにあってウズベキスタンは多角化探る 斎藤竜太
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表面的にはロシアとの一体性に大きな変化は見られないが、資源国では独自外交の動きも出ている。
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ロシアのウクライナ侵攻により激動の1年となった2022年、旧ソ連を構成していた中央アジア諸国(カザフスタン、キルギス、タジキスタン、トルクメニスタンおよびウズベキスタン)が、対露関係でどのような姿勢をとるか注目された。だが現在のところ、一体としての顕著な「ロシア離れ」には至っていないのが実態だ。この地域は、ロシア主導の集団安全保障条約機構(CSTO)や軍事基地といった安全保障面や、出稼ぎ労働者による海外送金や貿易などの経済面で、ロシアとの関係が強い。ただし、対露依存度や外交面での対露自立志向の度合いでは地域内にグラデーションがあり、それも一体としてのロシア離れが表面化しない理由となっている可能性がある。
ウズベキスタンは地域内でも対外関係多角化を比較的順調に進めている模様だ。ウズベキスタンに対してはロシアから、カザフスタンを交えた3カ国による「ガス同盟」の提案があったことが、日本のメディアでも報じられた。そして交渉過程でロシア側から「ウズベキスタンのガス輸送網を(ロシア国営の天然ガス企業)ガスプロムに市場価格で譲ること」「中国へガスを売る権利をロシア側に譲渡すること」などが、ウズベキスタン側に提示されたことも報じられた(後にロシアは撤回した模様)。
このロシアの「悪手」は、地域の中核国であるウズベキスタンの対露離れを加速させた可能性がある。ウズベキスタンはその後、シンガポールと経済協力に関する文書署名を行うなど、米中などの大国とも異なるベクトルへの対外関係多角化への動きがみられる。
ドイツへの天然ガス計画
地域内の資源大国であるカザフスタンは、ドイツに天然ガスを輸出する計画を進めるが、そのルートはロシア経由だ。トカエフ大統領のウクライナ東部地域の独立を認めない旨の発言など、プーチン政権に対して距離を取ろうとする動きが注目されるが、やはり長大な国境をロシアと共有する地理的制約は大きい。カザフスタンは現状、化石燃料資源輸出の9割以上を、ロシア経…
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週刊エコノミスト
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