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インド再エネ最大手の親会社リニュー・エナジー・グローバル 児玉万里子

リニュー・エナジー・グローバルのスマント・シンハCEO(2023年3月)(Bloomberg)
リニュー・エナジー・グローバルのスマント・シンハCEO(2023年3月)(Bloomberg)

Renew Energy Global 人口最大国を支える風力・太陽光/75

 リニュー・エナジー・グローバルは再生可能エネルギー発電のインド最大手、リニュー・パワーを傘下に持つ持ち株会社だ。2021年に英国で設立され、同年に米ナスダック証券取引所に上場した。

 子会社のリニュー・パワーはインドの実業家、スマント・シンハ氏(現在も同社と持ち株会社のCEO=最高経営責任者)が11年に創業した。創業当初はインド西部グジャラート州に風力発電所1カ所を運営していたが、後に太陽光発電所を加え、21年には北部ウッタラカンド州の水力発電所を所有するインド企業を買収している。

 22年3月末現在、国内10州で再エネ発電所約150カ所を運営する再エネ発電が専業の独立系企業だ。インドの中央政府と州政府が認可した風力・太陽光発電の総出力7万1000メガワットのうち、同社分は7650メガワットで、国内シェアは11%だった。その後も総出力を増やし、同年12月末現在、電力購入契約ベースで1万3400メガワット、そのうち稼働分は7800メガワットに上る。

 発電した電力は長期の電力購入契約を結んだ中央政府機関、地域配電会社、電力会社、企業などに販売する。販売電力量は22年3月期に1402万メガワット時に上った。

 22年3月期売上高593億4900万ルピー(約960億円)のほとんどが電力の販売による。発電容量は17年3月末からの5年間に3.8倍に拡大し、それとともに電力販売も増え、22年3月期は前期比23%増だった。22年4〜12月も前年同期比24%増と高成長が続いている。

長期契約で販売安定

 電力販売の電源種別ごとの内訳は、風力338億6100万ルピー(約550億円、電力販売の57%)▽太陽光240億6000万ルピー(約390億円、同41%)▽その他14億2800万ルピー(約23億円、同2.4%)──。また、売上高に占める顧客上位5社は59%を占めるが、長期購入契約で安定的に販売できる点が強みだ。

 22年3月期の製造原価と販売管理費に相当する経費の合計は285億ルピー(約460億円)。設備の減価償却費が半分ほどを占め、そのほかは人件費などだ。売上高からそれらの経費を差し引いた営業利益は大きく、売上高に対する営業利益の比率はやや下がっているものの、22年も52%と高い水準を維持している。

 ただ、支払利息の負担が大きいため、最終利益は圧迫されている。19年3月期は少額の純利益を計上したものの、その後は3期連続で純損失となっている。22年4〜12月期も最終赤字だが、赤字額は前年同期から大きく縮小した。

高い負債依存度

 発電所設備を中心とする設備投資は多額に上る。こうした投資は、主に長期の借入金と社債でまかなわれており、したがって負債依存度は高い。増資によって自己資本を補強しているが、22年3月末も有利子負…

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週刊エコノミスト

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